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突き落とし(つきおとし)とは?相撲の決まり手の意味と叩き込み・引き落としとの違い|稀勢の里の逆転優勝の一番も解説

突き落とし(つきおとし)とは?相撲の決まり手の意味と叩き込み・引き落としとの違い|稀勢の里の逆転優勝の一番も解説

突き落とし(つきおとし)とは、片手を相手のわきの下か脇腹に筈(はず)で当て、体を開きながら斜め下に押さえつけるように倒す相撲の決まり手です。日本相撲協会が定める決まり手八十二手のうち「捻り手」の1つで、名前に「突き」と付いていても、手のひらで突っ張る突き出し・突き倒しとは別の分類です。協会の集計では、全段(幕内〜序ノ口)・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番のうち10,492回(5.4%)で、82手中4位です。2017年3月場所千秋楽、新横綱の稀勢の里が照ノ富士を破って優勝決定戦へ進んだ本割の一番も突き落としでした。

この記事でわかること

  • 協会の定義と、「筈で当てる・体を開く・斜め下へ」の3コマ図
  • 叩き込み・引き落とし・巻き落とし・突き出し・突き倒しとの違い(比較表と図)
  • 192,672番で10,492回・82手中4位という数字の範囲と、相撲レファレンスの全期間29,220番
  • 突き落としの多い力士と、幕内で多く敗れた力士
  • 稀勢の里の新横綱優勝の本割、2026年9月場所14日目の琴櫻-大の里
  • 辞書に載る「突き落とす」の3つの意味と、相撲以外の使われ方
目次

突き落としとは|片手を相手のわきに筈で当て、体を開いて斜め下へ押さえつける捻り手

突き落としは、片手を相手のわきの下か脇腹に筈で当て、体を開いて斜め下へ押さえつけて倒す捻り手です。

日本相撲協会の公式サイトは、突き落としを次のように説明しています。

片手を相手のわきの下か脇腹にはずに当て、体を開きながら相手の重心を傾けさせ、斜め下に押さえつけるように倒して勝ちます。

出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 突き落とし」

下の図は、この定義文を当サイトが3つの場面に分けたものです。手を当てる位置や体を開く向きは取組ごとに違い、図はその一例です。

突き落としが決まる3コマの一例(赤が勝つ側)1 相手が前へ出てくる低い姿勢で勢いよく出てくる2 わきに筈で当て、体を開く手はわきの下か脇腹へ3 斜め下へ押さえつけて倒す相手は横向きに崩れて手をつく協会の定義を当サイトが場面に分けた図。手を当てる位置や向きは取組ごとに違う

協会の定義は「筈で当てる」「体を開く」「斜め下に押さえつける」の3点

協会の定義には、手を当てる形、体を開く動き、斜め下という倒す向きの3点がそろっています。

1点目は手の形で、片手を相手のわきの下か脇腹に「はず」に当てます。協会は押し出しの説明の中で、筈を「親指と他の4本の指をY字に開くこと」と書いています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 押し出し」)。2点目は体の動きで、体を開きながら相手の重心を傾けさせます。3点目は倒す向きで、相手を斜め下に押さえつけるように倒します。協会の定義は「倒して勝ちます」と結んでおり、相手を土俵の外へ出す技としては書かれていません。

辞書と百科事典は「上手を外側から筈に当て、斜め下に押しつける」と書く

国語辞典と百科事典も、わきに筈で当てて斜め下へ押す技と説明しています。

デジタル大辞泉は「突き落とし」を「相撲のきまり手の一。上手(うわて)を相手のわきに外側から筈(はず)に当て、相手を斜め下に押しつけるように倒す技。」と書いています(出典:weblio辞書「突き落とし」)。ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典は、寄り合いや押し合いの中で相手が腰の備えを怠って出てきたとき、差し手の外側の腕の付け根に親指を入れて下へ押しつけ、ねじり倒す技と説明し、差し手であっても筈になって押しつければ突き落としだと書いています(出典:コトバンク「突き落とし」)。読みはどれも「つきおとし」です。

名前に「突き」があっても、分類は基本技ではなく捻り手

突き落としは、突き出し・突き倒しのある基本技ではなく、捻り手に入っています。

協会の決まり手八十二手は、基本技・投げ手・掛け手・反り手・捻り手・特殊技の6つに分かれています。協会の捻り手の一覧では、突き落としが最初に並び、巻き落とし・とったり・逆とったり・肩透かしが続きます。協会は、突き落としを捻り手に入れた理由を説明していません。ただし定義文を読むと、手のひらで突っ張る動きではなく、体を開いて相手の重心を傾け、斜め下へ押さえつける動きが中心です。協会の基本技の突き倒しは「相手の体を手のひらで強く突っ張って倒して勝つ」と説明されており、手の使い方がまったく違います。

突き落としと叩き込み・引き落としの違い|脇に当てて斜め下か、上から叩くか、手前に引くか

叩き込みは肩や背中を叩いて落とし、引き落としは手前に引き倒し、突き落としはわきに当てて斜め下へ押さえる技です。

3つとも、前へ出てくる相手を倒す技で、2026年10月19日のGoogle検索でも「突き落とし 叩き込み 違い」を問う質問サイトや解説動画が並びます。協会の定義文で違いを並べると次のとおりです。

技分類協会の説明(原文の一部)順位回数
突き落とし捻り手片手を相手のわきの下か脇腹にはずに当て、体を開きながら…斜め下に押さえつけるように倒して4位10,492
叩き込み特殊技相手が低く出てきたとき、体を開きながら片手または両手で相手の肩、背中、腕などを叩いて落として3位15,881
引き落とし特殊技相手の腕を引いたり、肩を手前に引いたりして相手を自分の手前に引き倒して7位6,702
出典:日本相撲協会の各決まり手ページ。回数は全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番

協会の説明では、叩き込みと突き落としの両方に「体を開」く動きが書かれ、引き落としには書かれていません。3つを分けるのは、手をどこに当ててどちらへ力をかけるかです。見分けの順番を図にすると次のとおりです。協会は見分け方を1か所にまとめて説明していないため、図は各決まり手の説明文を当サイトがつなげたものです。

突き落としと似た技の見分け方手のひらで突っ張って倒した・出したかはい突き倒し・突き出しいいえ差し手で体を抱え、巻き込んでひねったかはい巻き落としいいえわきの下か脇腹に筈で当て、斜め下へ倒したかはい突き落としいいえ低く出た相手の肩・背中・腕を叩いて落としたかはい叩き込みいいえ腕や肩、前まわしを手前に引き倒したかはい引き落としいいえ投げ手・肩透かしなど、ほかの技協会の各決まり手の説明を当サイトがつなげた目安。記録される決まり手は協会が決める

叩き込みは「肩・背中・腕を叩く」、突き落としは「わきに当てて押さえつける」

叩き込みは低く出た相手の肩や背中を叩いて落とし、突き落としはわきや脇腹に筈で当てて押さえつけます。

協会は叩き込みを「相手が低く出てきたとき、体を開きながら片手または両手で相手の肩、背中、腕などを叩いて落として勝ちます。」と説明しています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 叩き込み」)。叩き込みは片手でも両手でもよく、叩く場所は肩・背中・腕などです。突き落としは片手で、当てる場所はわきの下か脇腹と書かれています。協会の集計では叩き込みが15,881回、突き落としが10,492回で、叩き込みは突き落としのおよそ1.5倍です。

引き落としは「手前に引き倒す」、突き落としは「斜め下へ押さえつける」

引き落としは腕や肩を自分の手前に引き倒す技で、突き落としは相手を斜め下へ押さえつける技です。

協会は引き落としを「相手の腕を引いたり、肩を手前に引いたりして相手を自分の手前に引き倒して勝ちます。前まわしをつかんで引くこともあります。」と説明しています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 引き落とし」)。引き落としは引く技で、突き落としは押さえる技です。引き落としの細かな決まり方は引き落としとはで解説しています。

実際の取組では見分けにくいと、Wikipediaにも書かれている

動きの中で決まることが多く、実際の取組では引き落としとの区別が難しいことがあります。

Wikipediaの「突き落とし」は、動きの最中に決まることが多く、引き落としと判別しにくいことがあると書いています。さらに、片方の手で差さずに上から背部を突いて落としただけでも、実際の判定では突き落としが採用される例があると書いています(出典:Wikipedia「突き落とし」)。協会の定義どおりの形にならない一番もあるため、記録される決まり手は、協会がその一番を見て決めたものとして受け止めるのが確かです。

取組で見るときは「片手か」「当てた場所」「崩れた向き」の3つを見る

取組で突き落としを見分ける目印は、片手か、手を当てた場所はどこか、相手が崩れた向きはどちらか、の3つです。

協会の定義では、突き落としは片手を相手のわきの下か脇腹に当て、斜め下に押さえつけて倒す技です。両手で肩や背中を上から叩いていれば叩き込みの説明に近く、差した腕で相手の体を抱えて巻き込んでいれば巻き落としの説明に近くなります。相手が自分の手前に引き込まれて前へ落ちれば引き落としの説明に近く、横に傾いて斜めに崩れ、手や膝が土俵につけば突き落としの説明に沿った形です。どの決まり手として記録されるかは協会が決めるもので、当サイトが個々の取組の判定を代わりに決めることはできません。

突き落としと突き出し・突き倒し・巻き落としの違い|突っ張るか、巻き込むか

突き出し・突き倒しは手のひらで突っ張る基本技、巻き落としは差し手で巻き込む捻り手で、突き落としとは手の使い方が違います。

名前が似ている技を、協会の定義文で並べると次のとおりです。

技分類協会の説明(原文の一部)順位・回数
突き落とし捻り手片手を相手のわきの下か脇腹にはずに当て…斜め下に押さえつけるように倒して4位・10,492
突き出し基本技相手の胸や肩など手のひらで強く突っ張って土俵の外へ出して11位・4,350
突き倒し基本技土俵の内外に関係なく相手の体を手のひらで強く突っ張って倒して19位・669
巻き落とし捻り手まわしを取らないで、差し手で相手の体を抱え、巻き込むようにして横にひねり倒して38位・119
出典:日本相撲協会の各決まり手ページ。回数は全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番

突き出し・突き倒しは、手のひらで強く突っ張る基本技

突き出しと突き倒しは、手のひらで相手を強く突っ張って出すか倒す基本技です。

協会は突き出しを「相手の胸や肩など手のひらで強く突っ張って土俵の外へ出して勝つ」技、突き倒しを「土俵の内外に関係なく相手の体を手のひらで強く突っ張って倒して勝つ」技と説明しています(出典:日本相撲協会「突き出し」・日本相撲協会「突き倒し」)。突き落としの定義には「突っ張る」という語がなく、体を開いて押さえつける動きで書かれています。突っ張りで攻める技は突き出しと突き倒しの記事で解説しています。

巻き落としは、差し手で抱えて巻き込む。協会も「突き落としに似ている」と書く

巻き落としは、まわしを取らずに差し手で相手の体を抱え、巻き込んで横にひねり倒す技です。

協会は巻き落としの説明の最後に「突き落としに似ていますが下手から巻き込んでいるかで決まり手が変わります!」と書いています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 巻き落とし」)。相手のわきに手を当てて押さえれば突き落とし、差した腕で相手の体を抱えて巻き込めば巻き落としです。協会の集計では巻き落としは119回で、突き落としのおよそ88分の1です。

肩透かしは同じ捻り手で、差し手で抱えて前に引き、肩などを叩いて引き倒す

肩透かしは、差し手で抱えて前に引き、もう一方の手で肩などを叩いて引き倒す捻り手です。

協会は肩透かしを「差し手で相手の腕のつけねを抱えるか、わきに引っかけるようにして前に引き、体を開きながらもう一方の手で相手の肩などを叩いて引き倒して勝ちます。」と説明しています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 肩すかし」)。協会の集計では1,787回で15位、捻り手の中では突き落としに次ぐ2番目です。差し手で前に引く肩透かしと、わきに手を当てて斜め下へ押さえつける突き落としでは、力をかける向きが違います。肩透かしの決まり方は肩透かしの記事にまとめています。

突き落としはどれくらい出ているのか|協会の集計では192,672番で10,492回・4位

協会の集計では、突き落としは192,672番のうち10,492回で、82手中4位です。

82手中4位で、捻り手19手の合計のおよそ4分の3を占める

突き落としは、押し出し・寄り切り・叩き込みに次ぐ4番目に多い決まり手です。

協会の決まり手ランキング(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽・192,672番)での上位は次のとおりです。

順位決まり手分類回数
1位押し出し基本技48,502
2位寄り切り基本技48,007
3位叩き込み特殊技15,881
4位突き落とし捻り手10,492
出典:日本相撲協会「決まり手」ランキング

協会の一覧に載る捻り手19手の回数を当サイトが足すと14,029回で、そのうち突き落としが10,492回です。捻り手の記録のおよそ4分の3が突き落としで、2番目の肩透かし(1,787回)の5倍以上です。192,672番で割ると、およそ18番に1番が突き落としで決まっています。

相撲レファレンスの全期間では29,220番で、幕内は6,181番

相撲レファレンスの記録を当サイトが数えると、全段・全期間で29,220番、そのうち幕内は6,181番です。

相撲の取組記録を集めた相撲レファレンスで、決まり手を突き落としに絞って段ごとに数えた結果です(2026年10月19日取得)。

段突き落としの番数
幕内6,181
十両4,042
幕下4,602
三段目6,483
序二段6,483
序ノ口1,373
前相撲56
合計29,220
出典:相撲レファレンス 取組検索(決まり手=突き落とし)を当サイトが段ごとに集計

三段目と序二段は、段ごとに別々に数えてどちらも6,483番でした(2つの段を合わせて数えると12,966番)。相撲レファレンスは、古い場所ほど下の段の記録が少なく、段ごとに記録が残っている期間が違います。この表の数は、段ごとの出やすさだけでなく、記録が残っている期間の違いも含んだ数字です。協会の192,672番の集計とは期間も対象も違うため、2つの数字は混ぜずに読む必要があります。

2025年は全段740番、2026年は9月場所までで726番

相撲レファレンスの記録では、2025年は全段740番・幕内93番、2026年は9月場所までで全段726番・幕内95番です。

2025年(令和7年)の6場所では全段740番、そのうち幕内は93番でした。2026年(令和8年)は1月〜9月場所の5場所で全段726番、幕内は95番で、まだ11月場所を残しています。2026年の幕内は5場所で95番なので、1場所あたり平均19番の計算です。2026年の幕内では、琴勝峰・正代・大栄翔が6番ずつ、藤ノ川が5番、朝白龍・霧島・翔猿が4番を決めています(相撲レファレンスの記録を当サイトが集計)。

突き落としの多い力士|協会の集計では大翔丸の82回が最多

協会の集計(全段・平成25年1月場所以降)では、元前頭の大翔丸の82回が最多です。

協会の一覧は全段の数で、引退した力士も並ぶ

協会の「突き落としの多い力士」は、幕内だけでなく全段の取組を数えた一覧です。

力士令和8年9月場所の番付など回数
大翔丸元前頭五枚目・令和8年7月場所引退82
千代栄元十両八枚目・令和8年3月場所引退80
宝富士元関脇・令和7年9月場所引退69
栃清龍東幕下二十一枚目61
正代西前頭十一枚目60
出典:日本相撲協会「突き落としの多い力士」(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽)

上位3人はすでに引退しており、現役では幕下の栃清龍の61回と、前頭の正代の60回が並びます。引退した力士は引退力士の一覧でも確かめられます。

相撲レファレンスの幕内全期間では、豪風の73番が最多

幕内に限って全期間を数えると、豪風の73番が最も多く、栃乃洋の71番が続きます。

相撲レファレンスの幕内の記録(記録が残る全期間〜2026年9月場所、2026年10月19日取得)では、豪風73番、栃乃洋71番、宝富士69番、稀勢の里63番、高安57番、正代と玉鷲が56番です。横綱では白鵬が53番を記録しています。宝富士は協会の全段の一覧でも、相撲レファレンスの幕内の数でも上位に入っています。

幕内で突き落としに多く敗れたのは玉鷲と富士櫻の66番

相撲レファレンスの幕内の記録では、突き落としで負けた回数は玉鷲と富士櫻の66番が最も多くなっています。

続いて高見山60番、大栄翔と豊響59番、琴奨菊57番です。(出典:相撲レファレンス 幕内・突き落としの負け数)。玉鷲は突き落としで勝った数でも56番あり、決めた数と負けた数の両方で上位にいます。

突き落としで決まった大一番|稀勢の里の新横綱優勝と、2026年9月場所の琴櫻

突き落としは回数が多い技ですが、優勝の行方を変えた大一番でも記録されています。

2017年3月場所千秋楽、けがをした新横綱稀勢の里が本割で照ノ富士を破った

2017年3月場所千秋楽の本割で、新横綱の稀勢の里は大関照ノ富士を突き落としで破り、優勝決定戦へ進みました。

相撲レファレンスの記録では、西横綱2枚目の稀勢の里が本割で照ノ富士を突き落としで破って13勝2敗で並び、続く優勝決定戦は小手投げで勝っています。Wikipediaの「稀勢の里寛」によると、稀勢の里は初日から12連勝したあと、13日目に日馬富士に寄り倒された際に左肩を負傷し、左肩に大きなテーピングをして出場を続けました。千秋楽の本割は左への変化から最後は突き落としで勝ったと書かれ、優勝は1995年1月場所の貴乃花以来22年ぶりの新横綱の優勝でした(出典:Wikipedia「稀勢の里寛」)。横綱の歴代の一覧は横綱一覧にまとめています。

2026年9月場所14日目、大関琴櫻が横綱大の里を突き落としで破った

2026年9月場所14日目に、大関琴櫻が11勝2敗で迎えた横綱大の里を突き落としで破りました。

相撲レファレンスの記録では、大の里はこの一番で3敗目を喫し、千秋楽に勝って12勝3敗で優勝しています。同じ14日目には、9勝4敗の関脇藤ノ川が10勝3敗の朝乃山を突き落としで破り、朝乃山は3敗目を喫しました。藤ノ川は2026年7月場所でも2日目に横綱大の里、3日目に横綱豊昇龍を突き落としで破っています。大関の一覧は大関一覧で確かめられます。

相撲以外の「突き落とす」|辞書では3つの意味のうち3つ目が相撲

デジタル大辞泉は動詞「突き落とす」を3つの意味で載せ、相撲の意味は3つ目です。

辞書の意味は、1が「突いて高い所から下へ落とす」(谷底に突き落とす)、2が「ひどく悪い状態に陥らせる」(絶望の淵に突き落とされる)、3が相撲で突き落としの技をかけることです(出典:weblio辞書「突き落とす」)。2026年10月19日に「突き落とし」でGoogle検索すると、協会の決まり手ページや辞書と並んで、人を高い所から突き落とした疑いの事件報道も上位に出ていました。相撲の決まり手を調べるときは「突き落とし 相撲」と語を足すと、協会や解説のページが並びます。辞書のどの意味が先に生まれたかを示す資料は、今回の取材では見つかっていません。

突き落としについてよくある質問

Q. 名前に「突き」とあるのに、なぜ基本技ではないのですか

A. 協会は、突き落としを捻り手に入れた理由を説明していません。協会の定義は「片手を相手のわきの下か脇腹にはずに当て、体を開きながら相手の重心を傾けさせ、斜め下に押さえつけるように倒して勝ちます」で、手のひらで突っ張る突き出し・突き倒しの説明とは違い、体を開いて押さえつける動きで書かれています。

Q. 「突き落とし」と「突落し」、どちらの書き方が正しいですか

A. 協会の決まり手八十二手では「突き落とし」と書き、読みを「つきおとし」としています。デジタル大辞泉は見出しを「つき‐おとし【突(き)落(と)し】」とし、送り仮名を省いた書き方も載せています。相撲レファレンスも「突き落とし」と表記しています。

Q. 横綱が突き落としで負けたことはありますか

A. あります。相撲レファレンスの記録では、2026年9月場所14日目に横綱大の里が大関琴櫻に、同じ年の7月場所2日目に大の里が、3日目に横綱豊昇龍が、どちらも藤ノ川に突き落としで敗れています。Wikipediaの「稀勢の里寛」には、2009年7月場所の中日に稀勢の里が横綱朝青龍を突き落としで破り、全勝を止めたと書かれています。

Q. 突き落としで相手が倒れずに土俵の外へ出たら、決まり手はどうなりますか

A. 協会の突き落としの定義は「斜め下に押さえつけるように倒して勝ちます」で、相手を土俵の外へ出す場合は書かれていません。外へ出た場合にどの決まり手になるかを協会がまとめて説明した文は、今回の取材では見つかっていません。記録される決まり手は協会がその一番を見て決めます。突き出し・押し出しのように、外へ出す決着を定義に書いている技もあります。

Q. 突き落としと叩き込みが同時に起きたように見えたら、どちらになりますか

A. 協会の定義では、片手をわきの下か脇腹に筈で当てて斜め下に押さえつければ突き落とし、相手の肩・背中・腕などを叩いて落とせば叩き込みです。記録される決まり手は協会が決めるもので、当サイトは個々の取組の判定を代わりに決めることはできません。判定の考え方は、協会の各決まり手ページの説明文が手がかりになります。

Q. 突き落としの多い現役力士は誰ですか

A. 協会の一覧(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽)では、現役は幕下の栃清龍の61回と、前頭の正代の60回です。同じ一覧の大翔丸(82回)は令和8年7月場所、千代栄(80回)は令和8年3月場所、宝富士(69回)は令和7年9月場所で引退しています。2026年の幕内では、琴勝峰・正代・大栄翔が6番ずつ決めています。

まとめ|突き落としは、わきに筈で当てて斜め下へ押さえつける、82手中4位の捻り手

突き落としは、片手を相手のわきの下か脇腹に筈で当て、体を開いて斜め下へ押さえつけて倒す捻り手です。

協会の集計(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番)では10,492回で82手中4位、捻り手の記録のおよそ4分の3を占めます。叩き込みは肩や背中を叩いて落とし、引き落としは手前に引き倒し、巻き落としは差し手で巻き込み、突き出し・突き倒しは手のひらで突っ張る技で、わきに当てて斜め下へ押さえるのが突き落としです。2017年3月場所の稀勢の里の新横綱優勝につながった本割や、2026年9月場所14日目の琴櫻-大の里も、記録上の決まり手は突き落としでした。

決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】に、似た技は引き落としと肩透かしにまとめています。

突き落としは、協会の集計でおよそ18番に1番が決まる身近な決まり手です。取組を見るときは、片手が相手のわきや脇腹に当たっているかと、相手が横向きに斜め下へ崩れたかに注目すると、叩き込みや引き落としとの違いを見分けやすくなります。

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