肩透かし(かたすかし)とは、差し手で相手の腕のつけねを抱えて前に引き、体を開きながらもう一方の手で相手の肩などを叩いて引き倒す、相撲の決まり手です。日本相撲協会が定める決まり手八十二手のうち、左右にひねって崩す技を集めた「捻り手」19手の1つです。協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年9月場所初日までの190,608番のうち1,760回、全体の0.92%で15位です。慣用句「肩透かしを食う」のもとになった技として、慣用句辞典にも名前が出てきます。
この記事でわかること
- 肩透かしの公式の定義と、「引く・開く・叩く」の3コマ図
- 捻り手19手のなかで突き落としに次いで多いこと
- 引き落とし・叩き込み・突き落としとの違いの表と見分け図
- 190,608番のうち1,760回という数字の中身と、幕内の年代別の本数
- 翠富士・栃煌山・豊ノ島・琴稲妻らの記録と、大一番の肩透かし
- 慣用句「肩透かしを食う」と技の関係で、辞典が書いていること・書いていないこと
肩透かしとは|差し手で前に引き、体を開いて肩を叩き引き倒す捻り手
相撲の肩透かしとは、差し手で相手を前に引き、体を開きながら反対の手で肩を叩いて倒す決まり手です。
日本相撲協会の公式サイトは、肩透かしを次のように説明しています。
差し手で相手の腕のつけねを抱えるか、わきに引っかけるようにして前に引き、体を開きながらもう一方の手で相手の肩などを叩いて引き倒して勝ちます。
公式の説明は「引く」「開く」「叩く」の3つの動作でできている
協会の説明文は、差し手で前に引く、体を開く、反対の手で肩を叩く、の3つの動作で肩透かしを定めています。
協会のこども向けページの解説画像では、同じ技を「体を大きく開きながら」「はたいて引き倒して」と書いています。同じページの用語解説は、差し手を「相手の脇の下に差し入れた手、又は腕のこと」、体を開くを「相手に正対していた体を、左右どちらか一方の足を後方に向けること」としています(出典:日本相撲協会「ハッキヨイ!せきトリくん おしえて八十二手」)。
「3つの動作」は公式の説明文を当サイトが読み解いたもので、協会の判定基準ではありません。
捻り手19手の5番目で、捻り手では突き落としに次いで多い
肩透かしは捻り手19手のうち協会の一覧で5番目に並び、回数は捻り手で突き落としに次ぐ2番目です。
82手は基本技7・投げ手13・掛け手18・反り手6・捻り手19・特殊技19の6系統です(一覧の並びを当サイトで数えたもの)。捻り手には、脚を払ってひねる内無双も入っています。決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】にまとめています。捻り手の回数上位は次のとおりです。
| 捻り手のなかの順 | 技名 | 全体の順位 | 回数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 突き落とし | 4位 | 10,359 |
| 2 | 肩すかし | 15位 | 1,760 |
| 3 | とったり | 25位 | 373 |
| 4 | 下手捻り | 26位 | 363 |
| 5 | 上手捻り | 32位 | 266 |
| 6 | 腕捻り | 37位 | 143 |
| 7 | 巻き落とし | 38位 | 119 |
協会は82手に通し番号を振っていません。こども向けページの「捻り手⑤」は、系統のなかでの順番です。
辞典は「前へはわせる」「透かし落とす」と書き、表記は2通りある
国語辞典と百科事典は、腕のつけねを引っかけて体を開き、肩を叩いて前へ落とす技と説明しています。
デジタル大辞泉は、差し手を浅く相手のわきに引っかけ、手前へ引きながら体を開き、もう一方の手で肩をたたいて「前へはわせる」技とします。精選版日本国語大辞典は、相手が押し返す機をとらえ、足を引くと同時に差し手で腕の付け根を抱えて手前に引き、他方の手で肩をはたいて倒す技と書きます。ブリタニカ国際大百科事典は「前へ透かし落とす」と表現し、似た形として「上(うわ)透かし」を挙げています(いずれもコトバンク所収:デジタル大辞泉・ブリタニカ・精選版日本国語大辞典)。
表記は、協会の決まり手一覧と詳細ページが「肩すかし」、協会のこども向けページと辞典が「肩透かし」です。精選版日本国語大辞典の見出しは「肩透」で、最も古い用例では「片透」と書かれています。
肩透かしはなぜ決まるのか|押してくる相手の力を、体を開いて前へ流す
当サイトの読み解きでは、前へ出る相手の正面から体をどけ、引く手と叩く手で勢いを前へ流すことが要点です。
相手が押し返してくる機をとらえる
精選版日本国語大辞典は、四つに組んで押し合ううち「相手が押し返す機」をとらえて掛ける技と書いています。
以下は辞典と協会の説明を当サイトが読み解いたものです。押し返してくる相手は、体重を前にかけています。そこで仕掛ける側が足を引いて体を開くと、相手の前には受け止める体がなくなります。差し手は相手を手前へ引き、反対の手は肩を上から叩くので、相手は前へ出る力のまま土俵に手をつきます。デジタル大辞泉が結果を「前へはわせる」と書くのは、この倒れ方です。
Wikipediaは『大相撲ジャーナル』2017年7月号を出典に、肩透かしを「かなり高度な技術を要する難度の高い決まり手」と書き、仕掛けることを「肩透かしを引く」と言うと説明しています(出典:Wikipedia「肩透かし」)。
翠富士は「いちばん最初に覚えた技」と話し、左右どちらでも使う
協会の集計で肩透かしが最も多い翠富士は、この技を最初に覚えた技だと中日新聞に話しています。
中日新聞の2022年7月8日の記事で、翠富士は肩透かしを「いちばん最初に覚えた技」と話し、安治川親方(元関脇安美錦)から「必殺技」と言われたと紹介されています(出典:中日新聞)。ABEMA TIMESは2021年1月17日の記事で、翠富士が肩透かしを左右両方で使うと書いています(出典:ABEMA TIMES)。
肩透かしと引き落とし・叩き込み・突き落としの違い|差し手で抱えているか
分かれ目は、差し手で相手の腕のつけねを抱えて引いているかどうかと、どこに手を当てて倒すかです。
| 技名 | 系統 | 協会の説明の要点 | 順位・回数 |
|---|---|---|---|
| 肩すかし | 捻り手 | 差し手で腕のつけねを抱えて前に引き、体を開いて反対の手で肩などを叩く | 15位・1,760回 |
| 引き落とし | 特殊技 | 腕や肩を手前に引いて引き倒す。前まわしをつかんで引くこともある | 7位・6,620回 |
| 叩き込み | 特殊技 | 低く出てきた相手を、体を開きながら肩・背中・腕などを叩いて落とす | 3位・15,694回 |
| 突き落とし | 捻り手 | わきの下か脇腹に手を当て、体を開いて斜め下に押さえつける | 4位・10,359回 |
| 巻き落とし | 捻り手 | まわしを取らず差し手で体を抱え、巻き込むように横にひねる | 38位・119回 |
| とったり | 捻り手 | 相手の片腕を両手で抱え取り、体を開いて手前にひねる | 25位・373回 |
| 小手投げ | 投げ手 | 相手の差し手を外側から抱え込み、上から押さえつけるように投げる | 13位・3,166回 |
引き落としは、腕や肩を手前に引いて倒し、協会の説明に差し手は出てこない
引き落としは相手の腕や肩を手前に引いて倒す特殊技で、協会の説明文に差し手や叩く動作は出てきません。
引き落としの公式の説明は「相手の腕を引いたり、肩を手前に引いたりして相手を自分の手前に引き倒して勝ちます。前まわしをつかんで引くこともあります。」です(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 引き落とし」)。協会の説明では、肩透かしは差し手で腕のつけねを抱える点が違い、分類も捻り手と特殊技に分かれます。引く技の詳細は引き落としの記事にまとめています。
叩き込みは、低く出てきた相手を上から叩いて落とす
叩き込みは、低く出てきた相手の肩や背中を叩いて落とす特殊技で、差し手で抱える動作がありません。
叩き込みの公式の説明は「相手が低く出てきたとき、体を開きながら片手または両手で相手の肩、背中、腕などを叩いて落として勝ちます。」です(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 叩き込み」)。「体を開く」「肩を叩く」は肩透かしと共通します。違いは、肩透かしが差し手で相手を前に引いていることです。
突き落としは、わきに手を当てて斜め下へ押さえつける
突き落としは肩透かしと同じ捻り手で、わきの下か脇腹に手を当て、体を開いて斜め下に押さえつけます。
突き落としの公式の説明は「片手を相手のわきの下か脇腹にはずに当て、体を開きながら相手の重心を傾けさせ、斜め下に押さえつけるように倒して勝ちます。」です(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 突き落とし」)。手を「はず」に当てて押さえるのが突き落とし、差し手で抱えて引くのが肩透かしです。
巻き落とし・とったり・小手投げは、腕の抱え方が違う
巻き落としは差し手で体ごと巻き込み、とったりは片腕を両手で抱え、小手投げは差し手を外から抱えます。
巻き落としは協会の説明で「突き落としに似ていますが下手から巻き込んでいるかで決まり手が変わります」とされています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 巻き落とし」)。とったりは突き押しや差し手争いのなかで相手の片腕を両手で抱え取る技、小手投げは相手の差し手を外側から抱え込んで投げる技です(出典:日本相撲協会「とったり」・「小手投げ」)。肩透かしは自分の差し手で腕のつけねを抱え、もう一方の手は肩を叩くために空けています。
肩透かしはどれくらい出るのか|190,608番のうち1,760回・15位
協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年9月場所初日までの190,608番で1,760回、0.92%です。
最も多い押し出しは47,973回・25.17%です。肩透かしの1つ上の14位は上手出し投げ(2,458回)、1つ下の16位は送り倒し(1,017回)でした(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手」)。肩透かしはおよそ108番に1番の計算です。
協会はこの190,608番の階級を書いていません。当サイトが相撲レファレンス(sumodb)で全階級の肩透かしを2013年から2026年まで年ごとに数えると、合計は協会と同じ1,760番でした。協会の数字は全階級の数と読めます。
幕内では1927年以降1,309番、2010年代が最多
相撲レファレンスの幕内の記録を当サイトが数えると、1927年以降の肩透かしは1,309番で、2010年代が最多です。
| 年代 | 幕内の本数 | 年代 | 幕内の本数 |
|---|---|---|---|
| 1920年代(1927年〜) | 23 | 1980年代 | 102 |
| 1930年代 | 58 | 1990年代 | 183 |
| 1940年代 | 31 | 2000年代 | 128 |
| 1950年代 | 156 | 2010年代 | 224 |
| 1960年代 | 141 | 2020年代(〜2026年7月場所) | 163 |
| 1970年代 | 100 | 合計 | 1,309 |
直近の幕内は、2022年30番、2023年27番、2024年31番、2025年23番、2026年は7月場所まで15番です。NHKの「大相撲どすこい研」は2023年3月11日の放送で「ただいま急増中!技術の結晶 肩透かし」と題して特集しましたが、番組ページに増加の数字は出ていません(出典:NHK)。
肩透かしの名手|翠富士・栃煌山・豊ノ島・琴稲妻
協会の集計では翠富士が82回で1位、幕内の通算記録でも翠富士が42番で1位、栃煌山35番が続きます。
Wikipediaは、かつての使い手に横綱旭富士、小結琴稲妻、関脇豊ノ島、栃煌山を挙げ、2020年代は翠富士としています(出典:Wikipedia「肩透かし」)。
協会の「多い力士」は翠富士が82回で1位、2021年時点で勝ち星の約4分の1
協会の決まり手ページは、肩透かしの多い力士として翠富士82回、大翔城35回、宇良29回ら5人を挙げています。
| 順 | 力士 | 回数 | 協会の決まり手ページの表示 |
|---|---|---|---|
| 1 | 翠富士 | 82 | 東十両七枚目 |
| 2 | 大翔城 | 35 | 元三段目六十七枚目(令和4年3月場所引退) |
| 3 | 宇良 | 29 | 東前頭九枚目 |
| 4 | 飛燕力 | 28 | 東序二段三十二枚目 |
| 5 | 千代翔馬 | 25 | 西前頭十四枚目 |
翠富士の82回は、相撲レファレンスで全階級を数えた82番と一致し、幕内の取組に限ると42番です。ベースボール・マガジン社と中日スポーツは、翠富士の肩透かしを「十八番」と書いています(出典:ベースボール・マガジン社)。日刊ゲンダイは2021年1月14日に一門の親方の「勝った相撲の4回に1回はこの決まり手」という話を、ABEMA TIMESは2021年1月17日に「全勝ち星の約25%」と伝えました(出典:日刊ゲンダイ)。約4分の1は2021年時点の数字です。
幕内の記録では翠富士42番、栃煌山35番、豊ノ島32番
相撲レファレンスの幕内の記録を数えると、翠富士42番、栃煌山35番、豊ノ島32番、琴稲妻29番が上位です。
| 順 | 力士 | 最高位 | 幕内での肩透かしの勝ち |
|---|---|---|---|
| 1 | 翠富士 | 前頭筆頭 | 42 |
| 2 | 栃煌山 | 関脇 | 35 |
| 3 | 豊ノ島 | 関脇 | 32 |
| 4 | 琴稲妻 | 小結 | 29 |
| 5 | 豪風・寺尾 | 関脇 | 21 |
| 7 | 宇良・千代翔馬 | 小結・前頭2枚目 | 19 |
| 9 | 北の富士 | 横綱 | 18 |
4位の琴稲妻は、のちの粂川親方です。2024年1月場所では審判部副部長として、翠富士の肩透かしで綱取りの大関霧島が敗れた一番について「1敗は痛いが、立て直すでしょう」と話しています(出典:中日スポーツ)。
大一番の肩透かし|綱取りの霧島を2度止めた技
2024年初場所と2026年名古屋場所で、綱取りに挑む大関霧島は、どちらも肩透かしで土をつけられました。
1度目は2024年1月場所4日目です。翠富士が綱取りの場所だった大関霧島を肩透かしで破り、霧島は「中に入られましたね」と話しました(出典:中日スポーツ・ベースボール・マガジン社)。
2026年名古屋場所13日目、安青錦が霧島との2敗対決を制した
2026年7月場所13日目、関脇安青錦が大関霧島を肩透かしで破り、11勝2敗で単独首位に立ちました。
2敗同士の一番でした。安青錦は「体が勝手に反応。何も狙っていなかった」と話し、敗れた霧島は10勝3敗となって綱取りが厳しくなったと報じられています(出典:中日スポーツ 2026年7月24日)。日刊スポーツ、ベースボール・マガジン社も肩透かしと伝え、相撲レファレンスの取組記録にも「安青錦(西関脇)○霧島(東大関)」で載っています。13日目の詳しい流れは名古屋場所13日目の記事に、場所の結末は名古屋場所千秋楽の記事にまとめています。
2026年夏場所千秋楽、若隆景は本割の肩透かしから優勝決定戦へ
2026年5月場所千秋楽、小結若隆景は本割で藤凌駕を肩透かしで破って12勝目を挙げ、決定戦で優勝しました。
中日スポーツと東京新聞によると、若隆景は本割の肩透かしで12勝3敗とし、大関霧島との優勝決定戦を制して2度目の優勝を果たしました。決定戦の決まり手は押し出しです(出典:中日スポーツ・東京新聞)。本割の一番は相撲レファレンスの取組記録でも確認できます。千秋楽の全取組は夏場所千秋楽の取組結果にあります。
1986年1月場所初日、横綱隆の里は保志の肩透かしに敗れ、その場所で引退した
1986年1月場所初日、横綱隆の里は関脇保志(のちの北勝海)に肩透かしで敗れ、その場所で引退しました。
Wikipediaはこの一番のあとに隆の里が引退を表明したと書いており、当サイトが相撲レファレンスの取組記録で確かめると、1986年1月場所初日に「東関脇 保志○西横綱 隆の里」の肩透かしが載っていました(出典:相撲レファレンス)。同じ場所での引退は、協会の歴代横綱のページとコトバンクでも確認できます(出典:日本相撲協会)。
慣用句「肩透かしを食う」と相撲の技|食う側は技を掛けられた側
慣用句の「肩透かしを食う」は勢いをそらされる側の言い方で、相撲なら技を掛けられて負けた側にあたります。
辞典の比喩の意味は「相手の勢いをうまくそらす」
デジタル大辞泉は第2の語義を、意気込んで向かってくる相手の勢いをうまくそらすこととしています。
用例は「―を食わせる」です(出典:デジタル大辞泉「肩透かし」コトバンク所収)。精選版日本国語大辞典も第2の語義を同じ意味とし、獅子文六『浮世酒場』(1936年)の「見事な肩スカシを喰って」を用例に挙げています。
日国の用例は相撲の意味のほうが古い(1796年と1814年)
精選版日本国語大辞典の最も古い用例は、相撲の意味が1796年、比喩の意味が1814年で、相撲の例が先です。
相撲の意味の用例は咄本『喜美談語』(1796年)、比喩の意味は雑俳『柳多留』65(1814年)の「投られた晩は寝るにも肩すかし」です(出典:精選版日本国語大辞典「肩透」コトバンク所収)。
ただし、デジタル大辞泉と精選版日本国語大辞典は語義を並べているだけで、「相撲から転じた」とは書いていません。一方、imidasの「ルーツでなるほど慣用句辞典」や故事ことわざ辞典は、相撲の決まり手を由来としています(出典:imidas・故事ことわざ辞典)。当サイトは、慣用句辞典は由来を相撲の技としている、国語辞典は由来を明記していない、の2つを並べて示し、断定はしません。
「食わせる」は掛けた側、「食う」は掛けられた側
「肩透かしを食わせる」は技を掛ける側、「肩透かしを食う」はそらされる側で、相撲の勝ち負けと向きがそろいます。
imidasの慣用句辞典は、「食う」を大目玉を食うと同じく好ましくないことを身に受ける意味と説明しています。相撲の側では、仕掛けることを「肩透かしを引く」とも言います(Wikipedia)。和英辞書のJMdictは、「肩透かしを食う」を to suffer a disappointment(がっかりする)と、to have one’s attack sidestepped(攻めをかわされる)の2つで訳しています(出典:Weblio英和和英)。
肩透かしについてよくある質問
Q. 肩透かしと上透かしは何が違いますか
A. 腕のつけねに内側の差し手で掛けるか、上外から手を掛けるかが違います。ブリタニカ国際大百科事典は、肩透かしを差し手で腕のつけ根を引っかける形、上透かしを相手の肘を外からつかみ、腕のつけ根に上外から手を引っかけて前へ透かし落とす形と区別しています。協会の決まり手八十二手に「上透かし」という名前はありません。
Q. 肩透かしは十両や幕下以下でも出ますか
A. 出ます。相撲レファレンスに残る全期間の記録(2026年9月14日取得)を当サイトが階級別に数えると、全5,412番のうち幕内1,309、十両786、幕下660、三段目1,263、序二段1,279、序ノ口112、前相撲3でした。全階級で最も多いのは最高位三段目の星東で105番です。協会の「多い力士」にも、三段目で引退した大翔城と序二段の飛燕力が入っています。
Q. 肩透かしの読み方と英語表記は
A. 読み方は「かたすかし」です。英語版Wikipediaは「Katasukashi」と書き、under-shoulder swing down と訳しています。和英辞書のJMdictも under-shoulder swing-down を載せています。
Q. 肩透かしは柔道の技が由来ですか
A. 当サイトが確認した資料では、柔道の技とする記述は見つかりませんでした。日本相撲協会は捻り手の決まり手としており、デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典・ブリタニカ国際大百科事典も第1の意味を相撲の技としています。検索結果には由来を柔道の技と書くページがありますが、辞典に同じ記述はありません。
Q. 肩透かしは左右どちらの手でも掛けられますか
A. 掛けられます。協会の説明は左右を指定していません。ブリタニカ国際大百科事典とWikipediaの「四十八手」は「右(左)差し手で相手の左(右)腕のつけ根」と左右を入れ替えた書き方をしており、ABEMA TIMESは翠富士が左右両方で使うと伝えています。
Q. 肩透かしで決まった一番は、どこで確かめられますか
A. 協会の決まり手ページに載るのは、期間中の順位・回数と「多い力士」5人までで、いつ誰が決めたかの一覧はありません。個々の取組は、相撲レファレンス(sumodb)の取組検索で決まり手を肩透かしに指定すると、場所・日目・対戦相手の一覧で確かめられます。現役力士の地位は力士一覧で確認できます。
まとめ|肩透かしは、前に出る力を体の開きで空振りさせる技
肩透かしとは、差し手で前に引き、体を開いて反対の手で肩を叩き、相手を前へ引き倒す捻り手です。
協会の説明文で比べると、差し手で抱えずに腕や肩を引けば引き落とし、低く出た相手を叩けば叩き込み、わきに手を当てて押さえれば突き落としです。協会の集計では全階級190,608番のうち1,760回・15位で、捻り手では突き落としに次いで多い技です。慣用句の「肩透かしを食う」について、慣用句辞典は相撲の技を由来とし、国語辞典は由来を明記していません。
決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】に、引く技の違いは引き落としに、同じ捻り手の珍しい技は内無双にまとめています。
協会と辞典の説明を読むかぎり、肩透かしは強い力で押し返す技ではなく、前に出る相手の正面を空けて、その勢いを土俵へ導く技だと当サイトは読んでいます。

