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足取りとは?相撲の決まり手の意味と使い手|卑怯・反則か、渡し込みとの違いも解説

足取りとは?相撲の決まり手の意味と使い手|卑怯・反則か、渡し込みとの違いも解説

足取り(あしとり)とは、相手の下にもぐり込み、両手で相手の片足を抱えて倒すか、土俵の外に出して勝つ相撲の決まり手です。日本相撲協会が定める決まり手八十二手のうち、相手の足に自分の足を掛けたり手で足を取ったりする「掛け手」18手の1つで、特殊技ではありません。協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年9月場所千秋楽までの192,672番のうち280回・30位です。相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたところ、幕内の直近は2025年11月場所8日目の横綱豊昇龍-宇良です。協会の禁じ手に足取りは入っておらず、大相撲では反則ではありません。なお、歩き方や相場の動きをいう「足取り」は「あしどり」と読む別の意味です。

この記事でわかること

  • 相撲の足取りの公式の定義と、「もぐり込む・抱える・倒す」の3コマ図
  • 192,672番のうち280回・30位という数字の中身と、多く決めている力士
  • 渡し込み・小股掬い・裾取り・小褄取り・褄取りとの違いの表と見分け図
  • 若葉山・舞の海から照強・宇良・宇瑠寅までの使い手と記録
  • 足取りは卑怯・反則なのか、協会とわんぱく相撲の禁じ手で確かめた答え
  • 歩き方・行方・相場をいう「あしどり」との読み分け
目次

足取りとは|相手の下にもぐり込み、両手で片足を抱えて倒すか出す掛け手

相撲の足取りとは、相手の下にもぐり込んで両手で片足を抱え、倒すか土俵の外へ出して勝つ掛け手です。

日本相撲協会の公式サイトは、足取りを次のように説明しています。

相手の下にもぐり込み、両手で相手の片足を抱えて倒すか、土俵外に出して勝ちます。

小柄な力士が得意技としています!

出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 足取り」

足取りが決まる3コマ(赤が仕掛ける側)1 下にもぐり込む頭を下げ、相手の懐の下へ入る2 両手で片足を抱える抱えた足を持ち上げ、一本足にする3 倒すか、外へ出す相手が倒れるか土俵を割れば勝ち

協会の説明は2通りあり、こども向けページは太ももと足首の持ち方まで書く

協会は詳細ページとこども向けページで足取りを別の文で説明しており、後者は手の置き場所まで書いています。

協会のこども向けページの解説画像は、足取りを「片手で相手の太ももを外側から持ち上げ、もう片方の手で持ち上げた足首を内側から掴み、体重を相手に預けて倒すか土俵の外に出して勝ちます。小柄な力士が得意技としています。」と説明しています(出典:日本相撲協会「ハッキヨイ!せきトリくん おしえて八十二手」)。詳細ページの「両手で相手の片足を抱えて」を、太ももを外側から持つ手と、足首を内側から持つ手に分けて書いた形です。

ブリタニカ国際大百科事典も、左(右)手で相手の右(左)膝を外側から抱え、右(左)手で同じ足首近くを内側から取って持ち上げると書いており、こども向けページとほぼ同じ持ち方です(コトバンク所収:ブリタニカ国際大百科事典「足取り」)。どちらの説明でも、決め手は相手を一本足にして支えを奪うことだと当サイトは読んでいます。

掛け手18手のうち3番目に多く、分類は特殊技ではない

足取りは協会の分類で掛け手に入り、掛け手18手の回数では外掛け・切り返しに次ぐ3番目です。

協会の大相撲クイズ(No.1267)は、掛け手を「相手の足に自分の足をかける技や、相手の足を手で取る技」と定義しています(出典:日本相撲協会「大相撲クイズ No.1267」)。足取りは後者の「手で取る技」の代表で、こども向けページでは掛け手の16番目に並びます。同じ掛け手で足を掛ける側の技には内掛けがあります。決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】にまとめています。

回数の順掛け手の技名全体の順位回数
1外掛け20位573
2切り返し27位324
3足取り30位280
4・5渡し込み・内掛け35位・36位216・148
6〜8蹴返し・裾払い・小股掬い39位〜52位116〜42
9〜12ちょん掛け・蹴手繰り・二枚蹴り・河津掛け58位〜64位25〜17
13〜18小褄取り・外小股・裾取り・大股・三所攻め・褄取り71位〜83位6〜0
出典:日本相撲協会「決まり手八十二手」(平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽・192,672番)。掛け手18手の回数を足すと1,886回で、足取りはその14.8%(当サイト算出)

協会の一覧でも詳細ページでもこども向けページでも、足取りは掛け手として載っており、特殊技には入っていません。

辞典は「一寸反り」とも呼び、読みは「あしとり」

国語辞典は相撲の足取りを「あしとり」の見出しで載せ、別名を「一寸反り(いっすんぞり)」としています。

デジタル大辞泉は「あし‐とり」の1番目の意味を相撲の決まり手とし、相手の足を両手で抱え上げ、引き倒すか土俵の外へ出す技と説明しています。精選版日本国語大辞典は、足をとらえることという1番目の意味の次に相撲の決まり手を置き、出典に『相撲講話』(1919年)を挙げています(いずれもコトバンク所収:デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典)。

Wikipediaは、樋渡雋次郎『相撲』(1923年)を出典に、旧称を「足取捻(あしとりひねり)」とし、この本では捻り手に分類していたと書いています。Wikipediaはまた、「浪枕」(出典は酒井忠正『相撲随筆』1954年)、「波枕」(出典は新山善一『図解 平成大相撲決まり手大事典』2008年)とも呼ばれたとしています。同じ記事の「波まくら」という表記には出典が付いていません(出典:Wikipedia「足取り」)。

足取りはどれくらい出るのか|192,672番のうち280回・30位

協会の集計では、平成25年1月場所から令和8年9月場所千秋楽までの192,672番で280回、30位です。

1つ上の29位は掛け投げの292回、1つ下の31位は吊り出しの270回です。割合は一覧では0.15%、詳細ページでは0.1%と、表示の桁が違います。

協会は280回がどの階級の取組かを書いていません。相撲レファレンスで同じ期間の足取りを幕内から序ノ口まで数えると、幕内26・十両25・幕下29・三段目80・序二段98・序ノ口22の計280番で、協会の数と一致します。三段目と序二段だけで178番、全体の6割あまりです。年ごとに見ると2013年の10番が最も少なく、2017年の31番、2021年と2025年の30番が多い年でした(相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたもの)。

多く決めているのは序二段・三段目の小兵

協会が挙げる足取りの多い力士6人のうち、令和8年9月場所の番付で関取なのは十両の炎鵬だけです。

力士協会の表示(令和8年9月場所の番付)足取りの回数
宇瑠寅西序二段九十五枚目37
海士の島元(令和4年7月場所引退)28
海士錦元三段目二十枚目(平成31年3月場所引退)19
朝氣龍東三段目四十四枚目18
千代太陽西三段目六十二枚目15
炎鵬東十両九枚目15
出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 足取り」足取りの多い力士(平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽・192,672番)

相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたところ、6人の回数はどれも協会と一致しました。海士の島は2017年の25勝のうち12勝が足取りです。炎鵬の15番は十両7・幕内4・幕下2・三段目1・序二段1で、関取の取組が11番を占めます。炎鵬の歩みは炎鵬の力士紹介にまとめています。

幕内では1927年以降199番、1950年代と1990年代に山がある

相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたところ、幕内の足取りは1927年1月場所から199番あります。

年代幕内十両
1920年代20記録なし
1930年代12記録なし
1940年代7記録なし
1950年代5237
1960年代1534
1970年代1117
1980年代57
1990年代389
2000年代135
2010年代1017
2020年代169
計199135
出典:相撲レファレンス(Sumo Reference)の取組検索を当サイトが年代ごとに数えたもの。幕内は1927年1月場所〜2026年9月場所、十両の記録は1956年3月場所から

相撲レファレンスに残る最も古い幕内の足取りは、1927年1月場所8日目の常陸嶋-阿久津川です。1950年代の山は若葉山、1990年代の山は舞の海・旭道山・旭鷲山の時期に重なります。十両以下を含む全階級では828番ありますが、幕下・序二段・序ノ口の記録は1991年9月場所からなので、年代を通した比較には使えません。幕内と十両では2023年から2025年10月までの間に1番もなく、2025年11月場所の豊昇龍が久しぶりの幕内の足取りでした。

令和8年9月場所は全段で5番、関取は阿武剋の1番だけ

令和8年9月場所の足取りは全6段で5番あり、関取の取組は十両14日目の阿武剋-丹治の1番だけでした。

協会の取組結果で15日間・全6段を確かめると、足取りは次の5番です。幕内は0番でした。

  • 十両14日目(9月26日):阿武剋が丹治に勝ち(阿武剋はこの日で8勝6敗)
  • 幕下5日目(9月17日):欧山田が西御許に勝ち
  • 三段目7日目(9月19日):千代太陽が富豊に勝ち
  • 序二段5日目(9月17日):康誠が揖武貴に勝ち
  • 序二段7日目(9月19日):宇瑠寅が隆葵に勝ち

出典は日本相撲協会「取組結果」です。取組結果の画面は力士名を読みがなで持っているため、漢字は協会の力士プロフィールで照らし合わせました。

足取りと渡し込み・小股掬い・裾取り・小褄取りの違い|両手で片足を抱えるか

足取りは両手で相手の片足を抱える技で、協会の説明で片手と書かれた渡し込み・小股掬い・裾取りとはそこで分かれます。

相手の足を手で取る掛け手は、協会の説明文で比べると、取る場所と手の数で見分けられます。

技取る場所(協会の説明)手(協会の説明)回数・順位
足取り片足(こども向けは太ももと足首)両手で抱える280回・30位
渡し込みひざか太ももを外側から片手で抱え込み、もう一方の手で押し込む216回・35位
小股掬い前に出した足の内側片手ですくい上げる42回・52位
大股反対側に出した遠い方の足の内側書いていない3回・77位
裾取り足首を外側から一方の手で取る5回・74位
小褄取り足首を正面から書いていない6回・71位
褄取り前に泳いだ相手のつま先書いていない0回・83位
出典:日本相撲協会「決まり手八十二手」の各詳細ページ(渡し込み・小股掬い・大股・褄取り・小褄取り・裾取り)。回数は平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番
足を手で取る技の見分け方(協会の説明文から当サイトが作成)相手の片足を両手で抱えたかはいいいえ(片手)足取りどこを取ったかひざ・太ももを外からもう一方の手で押し込む渡し込み前に出た足の内側をすくい上げる小股掬い足首の外側=裾取り足首の正面=小褄取りつま先=褄取り(手の数は説明により違う)倒すか土俵の外へ出す

この図は協会の説明文を当サイトが並べ替えたもので、協会の判定基準ではありません。

渡し込みは片手で抱えて体を預け、足取りは両手で抱える

渡し込みは片手で相手のひざか太ももを外から抱え、もう一方の手で押し込んで体を預けて倒す技です。

協会の渡し込みの説明は「相手のひざか太ももを片手で外側から抱え込んで内へ引き、もう一方の手で相手を押し込み、体をあずけて相手を倒して勝ちます!」です(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 渡し込み」)。足取りは両手とも足に使い、渡し込みは片手を足に、もう片手を相手の体に使う、という違いです。協会の渡し込みの多い力士には琴奨菊・嘉風の7回、豊昇龍の5回、宇良の3回などが並び、小兵に限った技ではありません。

見た目が似るため、報道の見出しで取り違えやすい技でもあります。ABEMA TIMESが2025年11月19日の記事で「0.1%の妙技」と伝えた宇良の高安戦は、決まり手は渡し込みで、足取りではありません。Wikipediaは相撲記者の新山善一の見立てとして、古い技の叉股返しは、いまの決まり手では足取りか大股か内無双と発表されるだろうと紹介しています。

裾取り・小褄取り・褄取りは足首やつま先を取る技

裾取りは足首を外側から、小褄取りは足首を正面から、褄取りはつま先を取る技で、どれも膝より下を狙います。

協会の裾取りの説明は、相手に投げを打たれたときに、こらえながら一方の手で相手の足首を外側から取って倒す、というものです。足首が着物の裾の位置にあたることが名前の由来とされています。小褄取りは足首の正面から掴んで引き上げ、褄取りは相手の横について前に泳いだ相手のつま先を後ろへ引き上げます(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 裾取り」)。

協会自身も取り違えを題材にしています。大相撲クイズ No.704 は、2015年3月場所7日目の里山-大栄翔の写真を出し、選択肢の足取りと褄取りをハズレ、裾取りを正解としています(出典:日本相撲協会「大相撲クイズ No.704」)。足をどこで、どちら向きに取ったかを見るのが、見分けの手がかりです。

足取りの使い手|若葉山・舞の海から照強・宇良・宇瑠寅まで

幕内の記録では若葉山と舞の海が多く、2020年代は照強・宇良・炎鵬、序二段では宇瑠寅が足取りを多用しています。

力士幕内の足取り決めた期間
若葉山221948年10月〜1958年5月
舞の海171991年9月〜1998年11月
常陸嶋151927年1月〜1931年1月
照強102020年3月〜2022年9月
旭道山81989年11月〜1996年3月
幡瀬川71928年3月〜1940年1月
旭鷲山61997年1月〜1998年7月
鬼竜川・宇良51958年1月〜1960年1月/2017年7月〜2022年1月
星甲・朝青龍・炎鵬4朝青龍は2001年3月〜2006年1月、炎鵬は2019年5月〜2020年1月
出典:相撲レファレンスの取組検索で幕内の足取り199番(1927年1月場所〜2026年9月場所)を勝った力士ごとに当サイトが数えたもの。改名前の四股名も合算

幕内の記録は若葉山22番、舞の海17番が上位

相撲レファレンスの幕内の記録では、足取りで最も多く勝ったのは若葉山の22番、次が舞の海の17番です。

若葉山は1954年3月場所初日、前頭4枚目で大関栃錦を足取りで破っています(相撲レファレンスの記録)。Wikipediaは、この一番の決まり手が当時「浪枕」と紹介されたことがあると書き、あわせて「脚が取れたら、相手の太ももを枕に寝ろ」という心得を紹介していますが、心得の部分には出典の注がありません。

相撲レファレンスの記録では、舞の海は幕内17番に十両2番を足した19番で、十両時代の1991年7月場所には武蔵丸を足取りで破っています。幕内の17番のうち4番は水戸泉が相手でした。nippon.comの舞の海のインタビュー記事は、1993年春場所の水戸泉戦の写真に、重心の低さを生かした足取りは巨漢力士に効果的だったという説明を付けています(出典:nippon.com 2022年5月12日)。

2020年代は照強・宇良・炎鵬、2025年11月には横綱豊昇龍も

相撲レファレンスの記録では、2020年以降の幕内の足取り16番のうち照強が10番、宇良が4番、炎鵬と豊昇龍が1番ずつです。

照強は2020年7月場所14日目に大関朝乃山を足取りで破り、中日スポーツは朝乃山が文字通り足をすくわれたと伝えました。2022年7月場所では9日目から11日目まで3日続けて足取りで勝ち、ABEMAの実況が驚いたことをABEMA TIMESが伝えています(出典:ABEMA TIMES 2022年7月21日)。

炎鵬は2020年1月場所13日目に小結阿炎を足取りで破って勝ち越しを決めました。宇良は2017年7月場所に栃ノ心を足取りで破って「うまく入れてよかった」と話し(時事通信)、2021年11月場所には初日に玉鷲、6日目に高安を足取りで破っています。インタビューのプロフィールでは得意を「押し・足取り」としています。宇良の取り口は宇良の力士紹介にまとめています。

幕内の直近の足取りは、2025年11月場所8日目に横綱豊昇龍が宇良を破った一番で、足取りを得意にする宇良が取られる側に回りました。2026年1月場所3日目には宇良が横綱大の里の右足を取りましたが、物言いの末に同体で取り直しとなり、取り直しは大の里が押し倒しで勝っています(出典:中日スポーツ 2026年1月13日)。歴代の横綱は横綱の解説にまとめています。

序二段の宇瑠寅は「足取り職人」と呼ばれる

協会の集計で足取りが最も多いのは序二段の宇瑠寅で、平成25年1月場所以降に37回決めています。

スポーツ報知は2026年9月21日の記事で宇瑠寅を「足取り職人」と呼び、2026年3月場所の5勝すべてが足取りだったと伝えました(出典:スポーツ報知(Yahoo!ニュース))。相撲レファレンスの記録でも、この場所の5勝はすべて足取りです。

2026年9月場所7日目には、37歳の宇瑠寅が16歳の隆葵を足取りで破りました。中日スポーツは宇瑠寅の60.4キロに対し隆葵は164.7キロで、低い体勢で潜り込んで右足を取りにいったと伝えています(出典:中日スポーツ 2026年9月19日)。協会の説明にある「小柄な力士が得意技としています」を、そのまま示す一番です。

足取りは卑怯・反則か|大相撲では正式な決まり手で、禁じ手ではない

足取りは協会が決まり手八十二手に載せる正式な技で、禁じ手にも入っておらず、大相撲では反則ではありません。

Googleの検索候補には「相撲 足取り 卑怯」が出ます。当サイトは技を使う力士を評価しません。ここでは規則と報道の記述で答えます。協会は足取りを「小柄な力士が得意技としています」と紹介しており、解説の側でも、北の富士勝昭さんのコラムは照強に足を取られた大関朝乃山のほうを「大関の名が泣こう」と書いています(出典:中日スポーツ 2020年8月1日)。

協会の禁じ手8項目にも、わんぱく相撲の禁じ手にも入っていない

協会のこども向けページが挙げる禁じ手8項目にも、わんぱく相撲の禁じ手にも、足取りは入っていません。

協会のこども向けページの禁じ手は、握り拳で殴る、頭髪をつかむ、目または水月等の急所を突く、両耳を同時に両方の掌で張る、前縦褌をつかみまた横から指を入れて引く、のどをつかむ、胸・腹をける、指を持って折り返す、の8項目です(出典:日本相撲協会「おしえて八十二手」)。

わんぱく相撲の公式ルールの禁じ手にも、足取りそのものはありません。ただし、頭を相手の胸の真ん中より下に入り込ませることは禁じ手に挙がっています(出典:わんぱく相撲「大会ルール」)。足取りは相手の下にもぐり込む技なので、子どもの大会では入り方の低さが分かれ目になると当サイトは読んでいます。実際の判定は各大会の審判が行います。子どもの大会で禁じ技とされる鯖折りとは扱いが違い、大会の種類は相撲の大会の解説にまとめています。

大坂相撲で一時禁じ手になった話は、Wikipediaが伝える記述

大坂相撲で足取りが禁じ手になった話はWikipediaに出典の注なしで載る記述で、当サイトは裏付けを取れていません。

Wikipediaの「足取り」は、1872年(明治5年)6月6日の天覧相撲で八陣が陣幕に足取りを決めたものの、天覧で使うには見苦しい技だと評価され、大坂相撲で足取りを禁じ手とする規約が作られた、と書いています。この部分に出典の注は付いておらず、辞典や報道では確かめられませんでした。いまの大相撲の規則とは別の、昔の一団体の話として読むのが安全です。

足取りへの対策|上体を起こさず、取られても一本足で残す

解説者の言葉を読むかぎり、足取りを防ぐ要点は上体を突っ立たせないことと、取られても一本足で残すことです。

ここに書くのは解説者の言葉とWikipediaの記述を当サイトが読み解いたもので、稽古の手順ではありません。

解説者は「上体が突っ立つ」と足を取られると言う

錣山親方は、炎鵬に足を取られた阿炎について、上体が突っ立って相手が見えていなかったと解説しています。

ABEMAの中継で錣山親方(元関脇寺尾)は、2020年1月場所13日目の炎鵬-阿炎について「上体が突っ立って相手が全く見えていない」と話し、片腕だけで相撲を取ろうとすると炎鵬の好きなようにされるとも指摘しました(出典:ABEMA TIMES 2020年1月24日)。

相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたところ、水戸泉は関取時代に足取りで8敗し、うち4敗が舞の海戦でした。Wikipediaは、長身で腰高な力士は小兵の技能派との対戦で足取りに屈しやすいと書いています(出典の注なし)。

貴ノ花は足を取られながら一本足で残して逆転した

北の富士さんのコラムは、貴ノ花が清国に足を取られながら一本足で残し、上手投げで逆転した一番を紹介しています。

同じコラムは清国の言葉として「馬でも足を取られたら転ぶ」を引き、そのあとに貴ノ花が完全に足を取られながら一本足でも残して逆転したと書いています。足を取られても、残った一本足で踏みとどまり、上から攻め返せば逆転の目があるということです。Wikipediaは、このとき清國が「太ももを枕に寝ろ」の心得を実行できなかったために逆転を許したと書いています(出典の注なし)。

レスリングの片足タックルとの関係

辞典は足取りの2番目の意味に、レスリングで相手の足を取って倒す技を挙げており、相撲と同じ語で呼んでいます。

デジタル大辞泉と精選版日本国語大辞典は、どちらも相撲の決まり手の次にレスリングの技を並べています。Wikipediaは、足取りはレスリングのシングルレッグダイブとほぼ同じになると書き、1970年代の吉の谷の足取りはレスリングの要領で放たれていたとも書いています(どちらも出典の注なし)。

宇良は小学3年生の終わりごろにレスリングを始め、中学卒業後に相撲一本に絞ったとインタビューで話しています(出典:dメニュースポーツ 2021年12月23日)。Wikipediaは、海士の島も入門前のレスリング経験を生かして足取りで勝つことが多かったとしています。相撲の足取りとレスリングのタックルを比べた新聞の記事は、当サイトでは見つかりませんでした。

「足取り」のもう一つの読み|歩き方・行方・相場は「あしどり」

「足取りが軽い」「足取りを追う」の足取りは「あしどり」と読み、歩き方や人の通った道筋、相場の動きを指します。

「足取り」を検索すると、相撲の技より先に、歩き方や行方の意味を説明する辞書のページが多く並びます。同じ漢字でも、辞典は読みで見出しを分けています。

読み意味使い方の例
あしとり相撲の決まり手/レスリングで足を取って倒す技足取りで勝つ
あしどり歩くときの足の運び方・歩調軽い足取り
あしどり人の通った道筋、特に犯罪者の逃げた経路足取りを追う
あしどり過去の相場の動きぐあい上げ足取り・下げ足取り
出典:デジタル大辞泉「足取り」(使い方の例も同辞典から)。相場の例は精選版日本国語大辞典「足取」

ただし、読みの線引きは辞典によって強さが違います。デジタル大辞泉は相撲の「あしとり」に「あしどり」とも読むと添えており、精選版日本国語大辞典は「あしどり」の2番目の意味を相撲の「あしとり」と同じとしています。相撲の技を「あしどり」と読んでも誤りとまでは言えず、協会のローマ字表記は ashitori です。「手取り足取り」「揚げ足取り」は、それぞれ別の言葉です。

足取りについてよくある質問

Q. 足取りは反則・卑怯な技ですか

A. 反則ではありません。日本相撲協会は足取りを決まり手八十二手の掛け手の1つとして載せており、協会の禁じ手8項目にも入っていません。わんぱく相撲の禁じ手にも足取りそのものは無く、禁じられているのは頭を相手の胸の真ん中より下に入れることです。立合いでいきなり足を取っても反則にはならず、Wikipediaは平幕時代の朝青龍が立合いで脚を取って土俵の外へ押し出した取組も足取りとされたと書いています(出典の注なし)。

Q. 足取りの読み方と英語表記は

A. 相撲の技は「あしとり」と読みます。辞典には「あしどり」とも読むとの注記もあります。協会の取組データのローマ字表記は ashitori です。英語では、英語版Wikipediaが leg pick、JMdictが downing an opponent by grabbing his leg と訳しています。協会の英語の説明は見つかりませんでした。

Q. 足取りを得意にした力士は誰ですか

A. 相撲レファレンスの幕内の記録では若葉山の22番、舞の海の17番が上位で、2020年代は照強の10番が目立ちます。相撲レファレンスの全階級の記録(2026年9月場所まで)では、宇良が14番、炎鵬が15番です。協会の集計(平成25年1月場所以降)では、序二段の宇瑠寅が37回で最多です。現役力士の地位は力士一覧で確認できます。

Q. 足取りと渡し込みの違いは

A. 協会の説明では、足取りは両手で相手の片足を抱えて倒すか出す技、渡し込みは片手で相手のひざか太ももを外側から抱え、もう一方の手で押し込んで体を預けて倒す技です。どちらも相手の太ももを持つことがあるので、取組を見分けるときは、もう一方の手が相手の足首に行ったか(足取り)、相手の体を押し込んだか(渡し込み)を見ると分かりやすくなります。回数は足取りが280回・30位、渡し込みが216回・35位です。

Q. 子どもの相撲で足取りを使ってもいいですか

A. わんぱく相撲の公式ルールの禁じ手に足取りは入っていません。ただし、頭を相手の胸の真ん中より下に入り込ませることは禁じ手です。足取りは相手の下にもぐり込む技なので、入り方が禁じ手に当たらないかは大会ごとのルールと審判の判断を確かめてください。

Q. 三所攻めとの関係は

A. 協会の大相撲クイズは、三所攻めの名前の由来を、内(外)掛け・足取り・押し(寄り)の三つの技で相手の両足と胸の三か所を攻めることだと説明しています。三所攻めは掛け手の1つで、平成25年1月場所以降の回数は2回です。足を掛ける側の技は内掛けで解説しています。

まとめ|足取りは、小兵が両手で片足を抱えて大きな相手を倒す掛け手

足取りとは、相手の下にもぐり込み、両手で相手の片足を抱えて倒すか土俵の外に出して勝つ掛け手です。

協会の集計では192,672番のうち280回・30位で、相撲レファレンスの記録ではその6割あまりが三段目と序二段の取組です。幕内では1927年以降199番あり、若葉山・舞の海の時代に多く、2020年代は照強・宇良・炎鵬が続き、2025年11月には横綱豊昇龍も決めました。片手で足を取る渡し込み・小股掬い・裾取りとは、両手で抱えるかどうかで分かれます。大相撲でも、わんぱく相撲でも足取りは禁じ手ではなく、歩き方や相場をいう「あしどり」とは読みで分かれる別の意味です。

決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】に、土俵際の逆転技はうっちゃりに、自分から土俵を割ってしまう非技は勇み足にまとめています。

協会の説明と記録を読むかぎり、足取りは体の大きさで劣る力士が、相手の一本足という一瞬の弱みを突く技で、だからこそ番付の下のほうの小兵が今も決め続けていると当サイトは読んでいます。

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