「相撲の大会」と聞くと、多くの方はテレビで見る大相撲(本場所)を思い浮かべます。しかし相撲の大会は、日本相撲協会が主催するプロの興行だけではありません。小学生から社会人まで、公益財団法人 日本相撲連盟が統括するアマチュアの全国大会が数多く開かれ、その頂点には「アマチュア横綱」の称号が用意されています。この記事では、相撲の大会の全体像を、プロとアマの違い・年代別の主要大会・アマからプロへ進む道まで、初めての方にもわかるように整理します。
📖 この記事でわかること
- 「相撲の大会」はプロ(大相撲)とアマチュア相撲に大きく分かれること
- わんぱく相撲から全日本相撲選手権まで、年代別の主要大会と「◯◯横綱」の称号
- アマチュア最高峰・全日本相撲選手権大会とアマチュア横綱の意味
- アマの大会での実績がプロ入り(付出制度)にどうつながるか
相撲の大会とは?大相撲(プロ)とアマチュア相撲の違い
相撲の大会とは、日本相撲協会が主催するプロの興行「大相撲(本場所)」と、公益財団法人 日本相撲連盟が統括する「アマチュア相撲」の各種大会の総称です。アマチュア相撲は小学生から社会人まで年代別に開かれ、各カテゴリの頂点に立った選手は「わんぱく横綱」「学生横綱」「アマチュア横綱」などと称されます。
両者は、そもそもの成り立ちと目的が異なります。プロの大相撲は神事に由来する伝統文化であり興行として、日本相撲協会が運営します。一方でアマチュア相撲は、体育・スポーツ・武道として、日本相撲連盟(国際相撲連盟に加盟)が普及と競技運営を担います。運営団体も、大会の位置づけも別ものだと押さえておくと、以降の話がすっきり整理できます。
ルール面にも違いがあります。アマチュア相撲では、顔面への張り手や鯖折りなど負傷につながりやすい危険な技が禁じられ、まわし以外の着衣をつかむ行為も認められていません。勝敗を競う競技であると同時に、成長期の子どもや学生が安全に取り組める教育的な配慮が置かれている点が特徴です。
相撲の大会ピラミッド(アマチュアの裾野から頂点へ)
裾野の広い小学生大会から、頂点の全日本相撲選手権までが一本の道でつながっています。
Q. アマチュア相撲と大相撲の違いは?
A. 大相撲は日本相撲協会が主催するプロの興行で、番付や給金があります。アマチュア相撲は日本相撲連盟が統括する体育・スポーツとしての大会で、年代別に開かれ、顔面への張り手など危険な技は禁止されます。目的も運営団体も別ものです。
相撲の全国大会の種類【年代・カテゴリ別一覧】
アマチュア相撲の全国大会は、出場者の年代・所属によっていくつかのカテゴリに分かれ、それぞれに「日本一」を決める大会があります。主なものを一覧にまとめました。
| カテゴリ | 主な全国大会 | 頂点の称号 | 主な時期 |
|---|---|---|---|
| 小学生 | わんぱく相撲全国大会/全日本小学生相撲優勝大会 | わんぱく横綱 | 夏 |
| 中学生 | 全国中学校相撲選手権大会/全国都道府県中学生相撲選手権大会 | 中学生横綱 | 夏 |
| 高校生 | 全国高等学校相撲選手権大会 | 高校横綱 | 夏 |
| 大学生 | 全国学生相撲選手権大会 | 学生横綱 | 秋 |
| 実業団・社会人 | 全日本実業団相撲選手権大会 | 実業団横綱 | 秋 |
| 一般(最高峰) | 全日本相撲選手権大会 | アマチュア横綱 | 12月上旬 |
このほか、地域名を冠した伝統ある大会も各年代に数多くあります。高校生では金沢大会や弘前大会、大学生では選抜宇佐大会などが知られ、選手たちは年間を通じてこれらの大会で腕を磨きます。
小学生年代の入口として広く親しまれているのが、わんぱく相撲全国大会です。日本相撲連盟と東京青年会議所が主催し、例年夏に開かれます。全国大会は原則として両国国技館で行われ、入場は無料とされています。地域の予選から勝ち上がった子どもたちが土俵に立つ姿は、相撲の裾野を支える原風景といえます。
なお、中学生年代の全国中学校相撲選手権大会(全中)については、今後の運営体制に変化が予定されています。日本中学校体育連盟は2024年6月、全国中学校体育大会の実施競技を見直し、相撲を含む9競技を2027年度(令和9年度)の大会から除外すると発表しました。少子化や教員の負担軽減、猛暑対策などが背景とされ、部活動の設置率が低い競技が対象になったと報じられています。中学生年代の全国大会としては、日本相撲連盟が主催する全国都道府県中学生相撲選手権大会などが引き続き重要な舞台となる見込みです。
Q. 子どもが出られる相撲大会は?
A. 小学生であれば、地域予選から全国大会まで行われるわんぱく相撲が代表的です。中学生は全国中学校相撲選手権大会や全国都道府県中学生相撲選手権大会があります。多くは各地の相撲連盟が窓口となっており、初心者向けの教室から参加できる地域もあります。
最高峰「全日本相撲選手権大会」とアマチュア横綱
アマチュア相撲の頂点に位置するのが、全日本相撲選手権大会です。日本相撲連盟の主催により1952年(昭和27年)に第1回が開かれ、例年12月上旬に両国国技館で行われています。その年のアマチュア相撲で優秀な成績を収めた社会人・大学生・高校生が出場資格を得て、体重による階級を設けない「無差別」で日本一を争います。
優勝者には天皇杯や内閣総理大臣杯が授与され、「アマチュア横綱」の称号が贈られます。体格差を越えてまわし一つで組み合う相撲の原理が、もっとも純粋に立ち上がる舞台といってよいでしょう。
歴代の優勝者には、のちにプロの大相撲で活躍した力士が名を連ねます。朝潮、琴光喜、高見盛、嘉風、遠藤といった顔ぶれに加え、近年では大の里泰輝が2021・22年度に連覇しています。アマチュアの頂点を極めた選手が、プロの土俵でも輝く——その連続性が、この大会の価値を物語っています。
Q. 「学生横綱」「アマチュア横綱」とは?
A. いずれもアマチュア相撲での栄誉ある称号です。全国学生相撲選手権大会を制した大学生が「学生横綱」、アマチュア最高峰の全日本相撲選手権大会を制した選手が「アマチュア横綱」と呼ばれます。プロの番付上の「横綱」とは別のもので、その年代・区分での日本一を意味します。
学生相撲・高校相撲・実業団相撲の主要大会
年代別のカテゴリの中でも、競技レベルの高さで知られるのが大学生の学生相撲です。全国学生相撲選手権大会の優勝者は「学生横綱」と称され、団体戦と個人戦の両方が盛んに行われています。体重別の個人選手権も設けられ、体格を問わず技術で勝負できる場が用意されています。
高校生年代の頂点は、全国高等学校相撲選手権大会です。優勝者は「高校横綱」と呼ばれ、この年代からすでにプロ入りを視野に入れる有望選手が現れます。伝統校の相撲部は、のちの関取や横綱を数多く輩出してきました。
社会人の世界では、全日本実業団相撲選手権大会が最高峰で、優勝者は「実業団横綱」となります。企業のクラブチームに所属しながら競技を続ける選手たちが集い、大学卒業後も相撲を続ける受け皿として、アマチュア相撲の層の厚さを支えています。
世界に広がる相撲——世界相撲選手権と女子相撲
相撲の大会は、いまや日本国内にとどまりません。日本相撲連盟が加盟する国際相撲連盟のもとで、世界相撲選手権大会が開催され、各国の選手が男女それぞれの階級で覇を競っています。相撲は国際的な競技スポーツとしても広がりを見せ、オリンピック競技化を目指す動きも続いてきました。
女子相撲も、アマチュアを中心に着実に発展してきた分野です。国内外の大会で女子の階級が設けられ、競技人口の裾野を広げています。プロの大相撲とは制度が異なりますが、「相撲を競技として楽しむ」土台が、性別や国境を越えて広がっている点は、相撲という文化の懐の深さを示しています。
アマチュアからプロ(大相撲)へ——付出制度という特権
アマチュア相撲で傑出した成績を残した選手には、プロの大相撲へ進む際の「近道」が用意されています。それが付出(つけだし)制度です。
まず前提として、プロの大相撲は、新弟子検査の年齢・体格などの基準を満たせば、実績がなくても入門できます。つまり「アマの大会で勝たなければプロになれない」わけではありません。付出制度は、アマチュアで圧倒的な実績を残したエリートが、前相撲や序ノ口といった下積みを免除され、上位の番付からデビューできる特権的な仕組みなのです。
現在の制度は2023年(令和5年)9月に改定されました。全日本相撲選手権大会・全国学生相撲選手権大会・国民体育大会(成年の部)のいずれかでベスト8以上に入ると「幕下最下位格付出」、ベスト16以上、あるいは全国高等学校総合体育大会や国体少年の部でベスト4以上に入ると「三段目最下位格付出」の資格が得られます。共通の条件として、義務教育を終了した25歳未満であることが求められます。かつて設けられていた「幕下10枚目格・15枚目格」の区分は、この改定で整理されました。
アマチュアの実績 → プロ入り(付出)のルート
→ 幕下最下位格付出
→ 三段目最下位格付出
学生相撲出身の力士がプロの頂点に立った例として、まず思い起こされるのが第54代横綱・輪島です。日本大学で学生横綱となり、初の学生相撲出身の横綱として一時代を築きました。その系譜は現代にも続いており、大の里泰輝は学生横綱、そしてアマチュア横綱を経てプロ入りし、番付を駆け上がって横綱へと昇りつめています。アマチュアの土俵で磨いた基礎が、プロの舞台で花開くことを示す好例です。
Q. アマの大会で勝つとプロ入りで有利になる?
A. はい。プロ入り自体は新弟子検査に合格すれば実績がなくても可能ですが、全日本相撲選手権などの主要大会で上位に入ると、付出制度により三段目や幕下といった上位番付からデビューできます。下積みを一部免除される、大きなアドバンテージとされます。
まとめ:裾野から頂点までつながる「相撲の大会」
相撲の大会は、テレビで見る大相撲(本場所)だけではありません。わんぱく相撲に始まり、中学・高校・大学・実業団と年代ごとに全国大会があり、その頂点にアマチュア横綱を決める全日本相撲選手権大会が立っています。日本相撲協会が運営するプロの世界と、日本相撲連盟が統括するアマチュアの世界は別ものですが、付出制度を通じて一本の道でゆるやかにつながっています。
さらに詳しく知りたい方は、番付とは?相撲の階級・仕組みや横綱とは?意味・なり方、大相撲の仕組みもあわせてご覧ください。プロの観戦に踏み出したい方は大相撲の場所とチケット完全ガイドが入口になります。アマチュア横綱からプロの横綱まで駆け上がった大の里泰輝の歩みも、相撲の大会がつながっていることを実感させてくれます。
子どもが土俵に上がる小さな大会も、天皇杯を懸けた全日本選手権も、同じ「相撲」という一つの文化の上にあります。裾野で相撲に親しんだ誰かが、いつか頂点の土俵に立つ——その静かな連続こそが、相撲の大会を見る楽しみの奥にあるものなのかもしれません。

