貴景勝は、突き押し一本で大関を30場所務めた元大関です。2024年9月場所を最後に28歳で土俵を去り、年寄「湊川」を襲名。2026年1月26日付で常盤山部屋を継承し、現在は湊川部屋の師匠として弟子の指導にあたっています。この記事では、貴景勝のプロフィールと経歴、幕内最高優勝4回を含む成績、そして引退から親方となった現在までを、日本相撲協会の公式記録をもとに整理します。
📖 この記事でわかること
- 貴景勝の現在=湊川部屋の師匠としての姿と、部屋を継承した経緯
- 本名・出身・部屋の変遷など基本プロフィール
- 初土俵から大関昇進までの歩みと、突き押しという取り口の中身
- 幕内最高優勝4回・三賞7回・金星3個など公式記録での成績
- 2024年9月場所で引退を決めた理由と、その後の歩み
貴景勝とは?突き押しで大関を30場所務めた元大関・現湊川親方
貴景勝とは、兵庫県芦屋市出身の元大関で、突き押しを武器に幕内最高優勝4回を果たした力士です。2019年3月場所後に大関へ昇進し、30場所にわたって大関の地位を務めました。2024年9月場所で引退し、年寄「湊川」を襲名。現在は湊川部屋の師匠を務めています。
四股名は「貴景勝 貴信(たかけいしょう たかのぶ)」。入門した貴乃花部屋の「貴」を受け継いだ四股名で、部屋の移籍を経てもこの名で土俵に上がり続けました。読みを迷いやすい四股名ですが、「たかけいしょう」が正式な読みです。
現役時代は、横綱が不在または休場がちだった時期に一人大関として番付の最上位を支えた場所もあり、地位を守ること自体が大きな務めとなりました。まずは基本のプロフィールから見ていきます。
貴景勝のプロフィール|本名・出身・部屋の変遷
日本相撲協会の公式プロフィールに基づく基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 四股名 | 貴景勝 貴信(たかけいしょう たかのぶ) |
| 本名 | 佐藤 貴信 |
| 生年月日 | 1996年8月5日 |
| 出身地 | 兵庫県芦屋市 |
| 体格 | 175cm・165kg(現役時) |
| 所属部屋 | 貴乃花部屋 → 千賀ノ浦部屋 → 常盤山部屋 |
| 初土俵 | 2014年9月場所 |
| 最高位 | 大関(在位30場所) |
| 得意技 | 突き・押し |
| 引退 | 2024年9月場所(年寄・湊川襲名) |
部屋の変遷は、本人の意思というより師匠側の事情によるものでした。入門先の貴乃花部屋が2018年に閉鎖されたことで千賀ノ浦部屋へ移り、その千賀ノ浦部屋が師匠の名跡変更にともなって常盤山部屋となりました。番付を上げていく途中で二度も看板が変わるという環境の中、成績を落とさずに大関まで駆け上がっています。
貴景勝の経歴|初土俵から大関昇進までの歩み
18歳での初土俵から大関昇進までは、5年に満たない期間でした。公式記録に基づく主な節目は次のとおりです。
▍貴景勝 昇進タイムライン
2014年9月場所初土俵(貴乃花部屋・18歳)
2016年5月場所新十両
2017年1月場所新入幕
2018年1月場所新三役(小結)
2018年11月場所小結で初の幕内最高優勝(13勝2敗)
2019年3月場所後大関昇進(大関としての初場所は2019年5月場所)
2024年9月場所引退・年寄「湊川」襲名
とりわけ大きな節目が2018年11月場所です。小結の地位で13勝2敗を挙げて初優勝。三役の力士が優勝すること自体が久しくなかった中での結果で、ここから大関取りが本格化しました。翌2019年1月・3月場所と勝ち星を積み、3月場所後に大関昇進が決まっています。22歳での大関昇進は、当時としては異例の速さでした。
Q. 貴景勝はなぜ部屋を三度も変わったのですか?
A. 本人の移籍希望ではなく、入門した貴乃花部屋の閉鎖にともなって千賀ノ浦部屋へ移り、その千賀ノ浦部屋が師匠の名跡変更で常盤山部屋に改称したためです。四股名の「貴」は入門時のまま貫きました。
貴景勝の得意技は突き押し|上背に頼らない圧力の相撲
貴景勝の相撲は、四つに組まずに突き・押しで勝負を決める「突き押し相撲」です。身長175cmと幕内では上背に恵まれた方ではありませんでしたが、165kgの分厚い体躯から生まれる圧力を武器に、低い姿勢から一気に前へ出る取り口を最後まで貫きました。
▍突き押し相撲の組み立て(貴景勝の型)
① 低い立ち合い
重心を落として当たり、相手の懐へ入り込む
② 突き起こし
のど輪や張り手で相手の上体を起こし、体を離す
③ 押し出し・突き出し
起きた相手を前進の圧力で土俵の外へ運ぶ
※押し出し・突き出しはいずれも日本相撲協会が定める決まり手。前に出続けることが前提の型で、体力の消耗も大きいとされます。
突き押しは、まわしを取って寄る四つ相撲に比べて短期決戦になりやすい取り口です。決まれば一瞬で勝負がつく一方、前に出られなければ相手に抱え込まれる危うさもあります。貴景勝はその危うさを承知のうえで型を変えず、大関の座を30場所守り抜きました。
貴景勝の成績・記録|幕内最高優勝4回と三賞・金星
幕内最高優勝は通算4回。優勝した場所と成績は次のとおりです。
| 回 | 場所 | 成績 |
|---|---|---|
| 1回目 | 2018年11月場所(小結) | 13勝2敗 |
| 2回目 | 2020年11月場所 | 12勝3敗 |
| 3回目 | 2023年1月場所 | 12勝3敗 |
| 4回目 | 2023年9月場所 | 11勝4敗 |
通算での成績と主な表彰は下表のとおりです。
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 通算成績 | 441勝254敗116休(60場所) |
| 幕内成績 | 353勝219敗116休(45場所) |
| 幕内最高優勝 | 4回 |
| 三賞 | 計7回(殊勲賞3回・敢闘賞2回・技能賞2回) |
| 金星 | 3個(日馬富士2個・稀勢の里1個) |
| 大関在位 | 30場所 |
数字の中で目を引くのが「116休」という休場の多さです。大関昇進後はけがを重ね、負傷を抱えたまま土俵に上がる場所も少なくありませんでした。負け越せば大関から陥落する「カド番」を9回経験しながら、そのつど勝ち越して地位を守っています。休場の多さと優勝4回は、同じ一人の力士の記録として並んでいます。
Q. カド番とは何ですか?
A. 前の場所で負け越した大関が、次の場所で勝ち越さなければ関脇へ陥落する状態のことです。貴景勝はこのカド番を9回経験し、そのすべてで勝ち越して大関の地位を守り抜きました。
貴景勝の引退と現在|年寄「湊川」襲名から湊川部屋の師匠へ
貴景勝は2024年9月場所(秋場所)の14日目にあたる9月21日、引退を表明しました。会見では「燃え尽きた。小学3年生から横綱になることだけを夢見て頑張ってきたが、目指す体力と気力がなくなった」と説明しています。当時28歳。師匠だった常盤山親方は、大関昇進後にけがが多かったこと、満身創痍の中で務めを果たしたことに触れました。引退の報にはSNS上でも土俵人生をねぎらう声が広がりました。
引退後は年寄「湊川」を襲名し、常盤山部屋の部屋付き親方として指導にあたります。そして2025年11月27日、日本相撲協会は湊川親方が常盤山部屋を継承することを承認しました。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年9月 | 現役引退・年寄「湊川」襲名(常盤山部屋付き) |
| 2025年11月27日 | 日本相撲協会が部屋の継承を承認 |
| 2026年1月26日付 | 常盤山部屋を継承し「湊川部屋」に名称変更 |
継承は初場所後の2026年1月26日付。部屋は東京都板橋区前野町にあり、部屋の掲げる言葉は「勝って驕らず負けて腐らず」です。所属する力士たちはそのまま湊川部屋に移り、前師匠の常盤山親方は定年を控えて部屋付きとなりました。現在の湊川親方は、弟子の指導に加えて中継の解説などでも土俵の外から相撲を語る立場にあります。
Q. 年寄「湊川」を襲名するとはどういう意味ですか?
A. 引退した力士が日本相撲協会に残って指導や運営にあたるには、年寄名跡(親方の株)を取得する必要があります。貴景勝は「湊川」の名跡を継いだため、現在は「湊川親方」と呼ばれます。
貴景勝に関するよくある質問
Q. 貴景勝はなぜ28歳の若さで引退したのですか?
A. 引退会見では「燃え尽きた」「横綱を目指す体力と気力がなくなった」と本人が説明しています。大関昇進後はけがによる休場が積み重なっており、通算116日の休場がその負担を物語っています。
Q. 貴景勝の現在は何をしていますか?
A. 年寄・湊川として日本相撲協会に所属し、2026年1月26日付で常盤山部屋を継承した湊川部屋の師匠を務めています。弟子の指導が主な務めで、取組中継の解説を担当することもあります。
Q. 貴景勝の読み方は?
A. 「たかけいしょう」と読みます。四股名は「貴景勝 貴信(たかけいしょう たかのぶ)」で、入門した貴乃花部屋にちなむ「貴」の字が入っています。
Q. 貴景勝は横綱になれなかったのですか?
A. 最高位は大関で、横綱昇進には至りませんでした。優勝4回のうち大関としての優勝も含まれますが、横綱昇進の目安とされる2場所連続優勝などの条件には届かず、大関のまま30場所を務めて引退しています。
Q. 貴景勝の得意技は何ですか?
A. 突き・押しです。まわしを取らずに前へ出る突き押し相撲を最後まで貫き、決まり手も突き出し・押し出しが中心でした。低い立ち合いから相手の上体を起こす形を得意としました。
Q. 湊川部屋にはどんな力士がいますか?
A. 継承前の常盤山部屋に所属していた力士がそのまま湊川部屋に移りました。幕内・十両の関取を含む顔ぶれで、部屋は東京都板橋区前野町にあります。最新の番付は日本相撲協会の公式情報をご確認ください。
まとめ|貴景勝が土俵に残したもの
貴景勝の歩みを整理すると、次のようになります。
- 兵庫県芦屋市出身、2014年9月場所初土俵。貴乃花部屋から千賀ノ浦部屋、常盤山部屋へ
- 2018年11月場所に小結で初優勝、2019年3月場所後に22歳で大関昇進
- 幕内最高優勝4回、三賞7回、金星3個、通算441勝254敗116休
- 大関在位30場所、カド番9回をすべて脱出
- 2024年9月場所で引退し年寄「湊川」を襲名、2026年1月に湊川部屋の師匠へ
同時代に土俵を沸かせた力士や、現役を退いた元大関の現在については、あわせて力士一覧や朝乃山の記事もご覧ください。貴景勝と大関の座を争った顔ぶれとしては、琴櫻将傑や豊昇龍智勝の歩みも参考になります。
突き押し一本という型は、当たれば速いかわりに、体を張り続けなければ成立しません。休場を重ねながらもその型を変えなかった10年間が、通算441勝という数字とともに番付に刻まれています。土俵を降りた今、その稽古の記憶は湊川部屋の若い力士たちへと受け渡されているのでしょう。
