送り出し(おくりだし)とは、相手の後ろに回り、押すか突いて土俵の外に出す相撲の決まり手です。日本相撲協会が定める決まり手八十二手のうち「特殊技」の1つで、同じく後ろから攻めても土俵の中で倒せば「送り倒し」になります。協会の集計では、全段(幕内〜序ノ口)・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番のうち6,324回で、82手中9位です。日常で使う「送り出す」とは辞書の上で同じ言葉で、相撲の意味はその3つ目に載っています。
この記事でわかること
- 協会の定義と、「かわす・後ろに回る・外へ押す」の3コマ図
- 「送り」の付く7つの決まり手の違いと回数
- 押し出し・送り倒しとの見分け方(比較表と図)
- 192,672番で6,324回という数字の範囲と、送り出しの多い力士
- 貴乃花の最後の一番と、朝青龍の「蹴り出し」と呼ばれた一番
- 辞書に載る「送り出す」の3つの意味と、相撲以外の「送り出し」
送り出しとは|相手の後ろに回り、押すか突いて土俵の外へ出す特殊技
送り出しは相撲の決まり手で、相手の後ろに回って押すか突き、土俵の外へ出す特殊技です。
日本相撲協会の公式サイトは、送り出しを次のように説明しています。
相手の後ろに回り、押すか突いて土俵外に出して勝ちます。土俵内で倒すと「送り倒し」になります!
説明の2文目にあるとおり、同じく後ろから攻めても、土俵の外へ出せば送り出し、土俵の中で倒せば送り倒しです。下の図は、協会の定義と、辞書の「相手の攻めをかわし、背を見せた相手を」という説明を、当サイトが3つの場面に分けたものです。後ろに回るきっかけは取組ごとに違い、図はその一例です。
辞書は「背を見せた相手を」押すか突くかして出す技と書く
国語辞典は、相手の攻めをかわし、背を見せた相手を押すか突くかして土俵外に出す技と説明しています。
デジタル大辞泉は「相撲のきまり手の一。相手の攻めをかわし、背を見せた相手を押すか突くかして土俵外に出す技。」と書いています。ブリタニカ国際大百科事典の小項目事典は「機をみて,相手の後ろへ回り,突くか押すか寄るかして,相手を土俵外へ出す」と、寄って出す場合も含めています(出典:コトバンク「送り出し」)。Wikipediaも「相手の背後に回り込み、後方から相手を押し、土俵の外に出す技」と書いています(出典:Wikipedia「送り出し」)。読みはどれも「おくりだし」です。
分類は特殊技で、「送り」の付く決まり手は7つある
送り出しは特殊技に入り、同じ特殊技には「送り」の付く決まり手が送り出しを含めて7つあります。
協会の決まり手八十二手は、基本技・投げ手・掛け手・反り手・捻り手・特殊技の6つに分かれています。特殊技の中に、相手の後ろから攻める「送り」の付く技が7つ並びます。協会の説明と回数をまとめると次のとおりです。
| 技 | 協会の説明(原文の一部) | 順位 | 回数 |
|---|---|---|---|
| 送り出し | 相手の後ろに回り、押すか突いて土俵外に出して勝ちます | 9位 | 6,324 |
| 送り倒し | 相手の後ろに回って押すか、突くかして土俵内で倒して勝ちます | 16位 | 1,028 |
| 送り投げ | 相手の後方から投げ倒して勝ちます。この時投げの種類は問いません | 40位 | 111 |
| 送り引き落とし | 相手の後方で自分の手前に引き倒して勝ちます | 55位 | 33 |
| 送り吊り落とし | 相手を後ろから吊り上げて、その場に落として倒して勝ちます | 69位 | 7 |
| 送り吊り出し | 相手の後ろに回り、相手の身体を持ち上げてそのまま土俵外へ出して勝ちます | 75位 | 5 |
| 送り掛け | 相手の後方から足を掛けて倒して勝ちます | 76位 | 4 |
7手のうち、土俵の外へ出して決まるのは送り出しと送り吊り出しの2つで、残る5つは相手を倒して決まる技です。
送り吊り出しは平成13年1月場所に加わった決まり手
7手のうち送り吊り出しは新しく、協会によると平成13年(2001年)1月場所に加わった決まり手です。
協会の大相撲クイズNo.410は、送り吊り出しを「平成13年(2001年)一月場所より追加された決まり手です。」と紹介しています(出典:日本相撲協会 大相撲クイズNo.410)。後ろから相手を持ち上げて外へ出す点が送り出しとの違いで、協会の集計期間では5回しか出ていません。
送り出しと押し出し・送り倒しの違い|正面からか後ろからか、出たか倒れたか
押し出しとは攻める向きが、送り倒しとは決着のかたちが違い、送り出しは後ろから押して外へ出します。
送り出しと間違えやすい技を、協会の説明で並べると次のようになります。
| 技 | 分類 | どこから攻めるか | 決着のかたち | 協会の説明(原文の一部) |
|---|---|---|---|---|
| 押し出し | 基本技 | 正面 | 土俵の外へ出す | 両手又は片手を筈にして、相手の脇の下や胸に当て、土俵の外に出して勝つ |
| 突き出し | 基本技 | 正面 | 土俵の外へ出す | 相手の胸や肩など手のひらで強く突っ張って土俵の外へ出して勝つ |
| 送り出し | 特殊技 | 後ろ | 土俵の外へ出す | 相手の後ろに回り、押すか突いて土俵外に出して勝ちます |
| 送り倒し | 特殊技 | 後ろ | 土俵の中で倒す | 相手の後ろに回って押すか、突くかして土俵内で倒して勝ちます |
見分けの順番を図にすると次のとおりです。協会は押し出しと送り出しの見分け方を1か所にまとめて説明していないため、図は各決まり手の説明文を当サイトがつなげたものです。
押し出しは正面から筈で押し、送り出しは後ろから押す
押し出しは相手の胸や脇の下に正面から手を当てて押す技で、送り出しは相手の後ろから押す技です。
協会は押し出しを「両手又は片手を筈(はず:親指と他の4本の指をY字に開くこと)にして、相手の脇の下や胸に当て、土俵の外に出して勝つことを言います。」と説明しています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 押し出し」)。押し出しは協会の集計で48,502回の1位、送り出しは6,324回の9位です。辞書の説明どおり、背を見せた相手を押して出せば送り出しになります。押し出しの細かな決まり方は押し出しとはで、正面から突っ張って出す技は突き出しで解説しています。
送り倒しとの差は、立ったまま出たか土俵の中で倒れたか
送り出しと送り倒しはどちらも後ろから攻め、外へ出せば送り出し、土俵の中で倒せば送り倒しです。
協会の送り倒しのページには「倒さずこのまま土俵の外に出せば「送り出し」になります!」とあり(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 送り倒し」)、送り出しのページには「土俵内で倒すと「送り倒し」になります!」とあります。2つのページが互いを指していて、分かれ目は相手を倒したのが土俵の中かどうかです。送り倒しは協会の集計で1,028回の16位で、送り出しのおよそ6分の1です。
持ち上げれば送り吊り出し、足を掛ければ送り掛けになる
後ろから相手を持ち上げて外へ出せば送り吊り出し、足を掛けて倒せば送り掛けと、別の決まり手になります。
協会は送り掛けを「相手の後方から足を掛けて倒して勝ちます。この時、外掛け・内掛けは問いません。」とし、「足を掛けずに相手を倒せば「送り投げ」又は「送り倒し」となります!」と書いています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 送り掛け」)。後ろから手前に引き倒せば送り引き落とし、投げ倒せば送り投げです。同じく後ろを取っても、最後にどう決めたかで7つに分かれます。
送り出しはどれくらい出ているのか|協会の集計では192,672番で6,324回
協会の集計では、全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番で、送り出しは6,324回です。
協会の決まり手ランキングには「期間:平成二十五年一月場所~令和八年九月場所千秋楽」「取組数:192,672番を元に表示しています」と書かれています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手」)。割合は3.28%で、およそ30番に1番が送り出しで決まっている計算です。
82手中9位で、1位の押し出しのおよそ8分の1
送り出しは82手中9位で、1位の押し出し(48,502回)のおよそ8分の1の回数です。
協会の一覧の上位11手は次のとおりです。
| 順位 | 決まり手 | 分類 | 回数 | 割合 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 押し出し | 基本技 | 48,502 | 25.17% |
| 2位 | 寄り切り | 基本技 | 48,007 | 24.92% |
| 3位 | 叩き込み | 特殊技 | 15,881 | 8.24% |
| 4位 | 突き落とし | 捻り手 | 10,492 | 5.45% |
| 5位 | 寄り倒し | 基本技 | 9,269 | 4.81% |
| 6位 | 上手投げ | 投げ手 | 8,906 | 4.62% |
| 7位 | 引き落とし | 特殊技 | 6,702 | 3.48% |
| 8位 | 押し倒し | 基本技 | 6,611 | 3.43% |
| 9位 | 送り出し | 特殊技 | 6,324 | 3.28% |
| 10位 | 下手投げ | 投げ手 | 4,364 | 2.26% |
| 11位 | 突き出し | 基本技 | 4,350 | 2.26% |
上位11手のうち特殊技は、叩き込み(3位)・引き落とし(7位)・送り出し(9位)の3つです。ほかは基本技・捻り手・投げ手で、送り出しは82手のうち上位11手に入る特殊技です。
「送り」の付く7手の回数の約84%を送り出しが占める
送りの付く7手の協会集計を合わせると7,512回で、そのうち6,324回、約84%が送り出しです。
ほかの6手は、送り倒し1,028回、送り投げ111回、送り引き落とし33回、送り吊り落とし7回、送り吊り出し5回、送り掛け4回で、合わせても1,188回です。「送り」の付く決まり手で決まった一番に限ると、約84%は倒したり投げたりせず、そのまま外へ出して決まっています。
相撲レファレンスの全期間では18,202番で、序二段が最も多い
相撲レファレンスの記録を当サイトが数えたところ、全段・全期間で18,202番あり、序二段の4,748番が最多です。
取組の記録を集めたサイト「相撲レファレンス」で送り出しの勝ちを検索すると、18,202番が出ます(出典:相撲レファレンス「取組検索」)。段ごとの内訳は次のとおりです。
| 段 | 全期間の番数 |
|---|---|
| 幕内 | 3,390 |
| 十両 | 2,282 |
| 幕下 | 2,743 |
| 三段目 | 4,226 |
| 序二段 | 4,748 |
| 序ノ口 | 779 |
| 前相撲 | 34 |
| 合計 | 18,202 |
協会の集計とは期間も数え方も違うため、2つの数は並べて比べません。相撲レファレンスの記録では、幕内だけでも3,390番あります。
送り出しの多い力士|協会の集計では宝富士と翔猿の34回が最多
協会の集計(全段)では、送り出しで勝った回数は宝富士と翔猿の34回が最も多くなっています。
協会の送り出しのページには「送り出しの多い力士」が7人並んでいます(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 送り出し」)。一覧は令和8年9月場所の番付で表示されています。
協会の上位7人には、三段目や幕下の力士も入る
協会の一覧は全段の数なので、上位7人には三段目の寒風山や幕下の栃清龍も入っています。
| 力士 | 令和8年9月場所の番付 | 回数 |
|---|---|---|
| 宝富士 | 元関脇(令和7年9月場所引退) | 34 |
| 翔猿 | 東前頭十四枚目 | 34 |
| 旭大星 | 元前頭八枚目(令和7年1月場所引退) | 33 |
| 寒風山 | 東三段目筆頭 | 32 |
| 栃清龍 | 東幕下二十一枚目 | 31 |
| 霧島 | 東大関 | 30 |
| 美ノ海 | 西前頭三枚目 | 30 |
現役の大関では霧島が30回で入っています。相撲レファレンスの記録では、令和8年9月場所5日目にも霧島は隆の勝を送り出しで破りました。大関の地位については大関とはで解説しています。
相撲レファレンスの幕内全期間では、魁皇の42番が最も多い
相撲レファレンスの記録を当サイトが数えると、幕内の送り出しの勝ちは大関魁皇の42番が最も多くなります。
幕内での送り出しの勝ちを力士ごとに数えた上位は次のとおりです(出典:相撲レファレンス「取組検索」幕内・力士別)。
| 力士 | 幕内での番数 |
|---|---|
| 魁皇 | 42 |
| 朝乃若 | 36 |
| 寺尾 | 35 |
| 安芸乃島 | 33 |
| 安美錦 | 33 |
| 貴乃花 | 33 |
| 宝富士 | 31 |
| 海鵬 | 30 |
| 若乃花 | 30 |
Wikipediaは、この技を好んで使った力士として横綱朝青龍を挙げ、2000年代半ばには高い反射神経を生かして武器にしていたと書いています。
送り出しで決まった有名な一番|貴乃花の最後の一番と朝青龍の「蹴り出し」
送り出しは、2003年に横綱貴乃花が最後に取った一番や、2009年の朝青龍の「蹴り出し」騒動の決まり手です。
どちらの一番も、勝負そのものより、その後の出来事や受け止め方で語られてきました。
2003年1月場所8日目、安美錦が横綱貴乃花を送り出しで破った
2003年1月場所8日目、東前頭4枚目の安美錦が、西横綱の貴乃花を送り出しで破りました。
相撲レファレンスの記録では、この一番は東前頭4枚目の安美錦が西横綱の貴乃花に送り出しで勝ったものです(出典:相撲レファレンス「取組検索」2003年1月場所)。Wikipediaは、この一番が2人の初対戦で、安美錦にとって初めての金星になり、貴乃花はこの一番を最後に翌9日目に現役引退を表明したと書いています(出典:Wikipedia「送り出し」)。貴乃花自身も、相撲レファレンスの幕内の記録では送り出しで33番勝っている力士です。横綱の地位は横綱とはで、引退した力士は引退力士一覧で確かめられます。
2009年9月場所7日目、朝青龍の送り出しは「蹴り出し」と報じられた
2009年9月場所7日目の朝青龍-玉乃島は送り出しで決まりましたが、ひざが当たり「蹴り出し」と報じられました。
日刊スポーツ(2009年9月20日)は、朝青龍が玉乃島を「送り出そうとした際、右ひざで相手の左尻をドスン」と伝え、協会に「「反則じゃないのか」という抗議電話が10分以上、約30件続いた」と書きました。同じ記事は、朝青龍が「蹴ったんじゃないと思うよ」と話し、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が「蹴りじゃないよ」、放駒審判長(元大関魁傑)が「動きの中で、蹴りにいったとは見えなかった」と説明したと伝えています(出典:日刊スポーツ(2009年9月20日))。
協会の大相撲クイズNo.711が紹介する「審判規則 禁手反則」では、反則負けになる8項目の1つが「胸、腹を蹴ること」です(出典:日本相撲協会 大相撲クイズNo.711)。日刊スポーツも「「胸や腹を蹴ること」は反則だが、尻については明記していない」と書いていて、この一番は相撲レファレンスの記録でも朝青龍の送り出しの勝ちとして残っています。
当時のコラムは「相手の腰または尻に胸や腹をぶつけていくのが正しい」と書いた
ラジオNIKKEIのアナウンサーのコラムは、後ろ向きの相手には体を密着させて出るのが基本だと書きました。
舩山陽司アナウンサーはラジオNIKKEIのコラム(2009年9月24日)で、「相手の腰または尻に、自分の胸や腹をぶつけていくのが正しい。」と書き、理由を「後ろ向きの相手に密着せずに寄ると、捨て身の投げを食らう可能性があるからだ。」と説明しています(出典:ラジオNIKKEI 舩山陽司アナのコラム)。そのうえで「今回の朝青龍の相撲は基本を守ったに過ぎない」と結論づけました。Wikipediaも同じコラムを引き、舩山アナがアマチュア相撲2段の経歴を持つと紹介しています。これはコラムの筆者の見方で、協会の見解ではありません。
なぜ相手の後ろに回れるのか|いなしや叩きで相手が前に「泳いだ」とき
辞書は「相手の攻めをかわし、背を見せた相手を」と書き、協会は前のめりに崩れた状態を「泳ぐ」と呼びます。
辞書の説明では、相手の攻めをかわし、相手が背を見せたところで押すのが送り出しです。協会の用語と当時の報道から、後ろに回れる場面を見ていきます。
協会は、前のめりに崩れて足がついていかない状態を「泳ぐ」と呼ぶ
協会は、出し投げや叩き、いなしで前のめりになり、足がついていかない状態を「泳ぐ」と呼んでいます。
協会の大相撲クイズNo.1467は「泳ぐ」を「出し投げや叩き、いなしでバランスを崩し、前のめりになり、上体の移動に足の送りが伴わない状態を言います。」と説明しています(出典:日本相撲協会 大相撲クイズNo.1467)。2009年の朝青龍の一番も、日刊スポーツは「苦境でうまくいなすと、俵に詰まった相手は後ろ向きになった」と書き、ラジオNIKKEIのコラムは「右に変わった朝青龍が、勢い余って俵に足が掛かっている玉乃島を送り出して」と書いています。
当サイトの読み解きでは、前に出る相手の勢いを横へそらしたときに相手の背中が空きます。そこで前に引けば引き落とし、崩れた相手の後ろに回って外へ出せば送り出しと、同じ崩しから別の決まり手が生まれます。
背中を見せると送り出されるので、一本背負いは滅多に成功しない
相手に背中を向ける技は送り出されるおそれがあり、Wikipediaは一本背負いが滅多に成功しない理由に挙げています。
Wikipediaの「一本背負投」の相撲の節は、「相撲においては相手に背を見せることは送り出しでの負けの可能性が高く」と書いています(出典:Wikipedia「一本背負投」)。協会の集計で一本背負いは192,672番のうち19回だけです。背を向けて投げる技については一本背負いとはで解説しています。
相撲以外の「送り出し」|辞書では「送り出す」の3つ目の意味が相撲
「送り出す」は人や物を送る意味でも使う言葉で、辞書では相撲の意味は3つ目に載っています。
デジタル大辞泉は「送り出す」を次の3つの意味で載せています(出典:コトバンク「送り出す」)。
| 番号 | デジタル大辞泉の説明 | 辞書の例文など |
|---|---|---|
| 1 | 人を、行くべき所に行かせる。また、人を世に出す。 | 子供を学校へ送り出す/各方面に卒業生を送り出している |
| 2 | 物を他の場所へ向けて送る。発送する。 | 製品を送り出す |
| 3 | 相撲で、相手の背中を押して土俵外に突き出す。 | 決まり手の「送り出し」 |
2026年10月16日に当サイトがGoogleで「送り出し」を検索したところ、上位8件のうち相撲の解説は3件でした。残りには、外国人材の受け入れで使う「送り出し機関」、建設業の「送り出し教育」、橋の工事の「送出し工法」(国土交通省 中部地方整備局の資料)が並びました。実用空調関連用語には、ポンプが流体を吐き出すことを「送り出し」と呼ぶ用例もあります(出典:weblio「送り出し」)。
一方、デジタル大辞泉は名詞の「送り出し」を相撲の決まり手の意味だけで載せています。相撲の決まり手から日常の「送り出す」が生まれたと示す資料は、当サイトが調べた範囲では見つかりませんでした。辞書の上では、人や物を送るという一般の意味と並んで、相撲の意味を持つ言葉です。
送り出しについてよくある質問
Q. 後ろから押すのは反則ではないのですか
A. 反則ではありません。送り出しは協会が定める決まり手八十二手の1つです。協会の大相撲クイズNo.711が紹介する「審判規則 禁手反則」の8項目(握り拳で殴る・頭髪をつかむ・急所を突く・両耳を同時に張る・前立褌をつかむ・のどをつかむ・胸や腹を蹴る・指を折り返す)に、後ろから押すことは入っていません。
Q. 「送り足」と送り出しは同じですか
A. 別のものです。協会の大相撲クイズNo.927によると、相手を吊り上げて両足を浮かせたまま自分の足が先に土俵の外に出ても、そのあと相手の足を外に降ろせば「送り足」となって負けにならず、吊り出しで勝ちになります。ただし、後ろ向きに後退してかかとから出た場合は負けになると、同じクイズは書いています(出典:日本相撲協会 大相撲クイズNo.927)。名前は似ていますが、決まり手の送り出しとは扱う場面が違います。
Q. 後ろを向いた相手が、押される前に自分から土俵の外へ出たら送り出しですか
A. 送り出しにはなりません。協会は、相手の力が加わらない状態で自分の足が土俵の外に出て負けることを「踏み出し」と呼び、決まり手ではなく勝負結果の1つとしています(出典:日本相撲協会「決まり手八十二手 踏み出し」)。協会の集計期間では42回(51位)です。決まり手ではない勝負結果は勇み足とはでも解説しています。
Q. 最近の場所でも、幕内で送り出しは出ていますか
A. 出ています。相撲レファレンスの記録を当サイトが数えると、2026年(令和8年)の1月〜9月場所の5場所で幕内の送り出しは42番あり、9月場所では千秋楽の藤青雲-朝紅龍、一山本-金峰山など7番ありました(出典:相撲レファレンス「取組検索」2026年・幕内)。
Q. 横綱や大関も送り出しで負けることはありますか
A. あります。相撲レファレンスの記録では、2003年1月場所8日目に横綱貴乃花が安美錦に、2026年5月場所11日目に大関琴櫻が正代に、送り出しで敗れています。
Q. 送り出しの多い現役力士は誰ですか
A. 協会の一覧(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽)では、現役は翔猿34回、寒風山32回、栃清龍31回、霧島30回、美ノ海30回です。同じ一覧の宝富士(34回)は令和7年9月場所、旭大星(33回)は令和7年1月場所で引退しています。
まとめ|送り出しは、後ろに回って土俵の外へ出す、82手中9位の特殊技
送り出しは、相手の後ろに回って押すか突いて土俵の外へ出す特殊技で、協会の集計では82手中9位です。
協会の集計(全段・平成25年1月場所〜令和8年9月場所千秋楽の192,672番)では6,324回で、「送り」の付く7手の回数の約84%を占めます。正面から押せば押し出し、後ろから押しても土俵の中で倒せば送り倒し、持ち上げれば送り吊り出しです。2003年の貴乃花の最後の一番や、2009年の朝青龍の「蹴り出し」と報じられた一番も、記録上の決まり手は送り出しでした。日常の「送り出す」とは辞書の上で同じ言葉で、相撲の意味はその3つ目に載っています。
決まり手の全体像は相撲の決まり手一覧【全82手+非技5】に、同じ特殊技で土俵際の逆転技はうっちゃりに、背中を見せる危うさは一本背負いとはにまとめています。
送り出しは、協会の集計でおよそ30番に1番の割合で記録されている決まり手です。取組を見るときは、相手の背中が空いた瞬間と、最後に土俵の外へ出したか土俵の中で倒したかに注目すると、送り出しと送り倒しの違いを見分けられます。

