玉鷲一朗は、片男波部屋に所属するモンゴル・ウランバートル出身の力士です。2004年1月の初土俵から本人都合による休場が一度もなく、その連続出場はギネス世界記録に認定されました。41歳を迎えた2026年7月場所では13年ぶりに十両へ落ちましたが、その場所を9勝6敗で勝ち越しています。この記事では、日本相撲協会の公式記録をもとに、玉鷲のプロフィールと現在の番付、「鉄人」と呼ばれる連続出場記録の中身、そして得意の押し相撲を整理します。
📖 この記事でわかること
- 玉鷲の本名・出身・体格などの基本プロフィールと四股名の由来
- 2026年7月場所終了時点の番付と、直近10場所の成績
- ギネス世界記録「大相撲最多連続出場」で認定された回数と、その中身
- 通算の連続出場と幕内の連続出場という、別々の2つの記録の違い
- 直近6場所の白星34のうち21が押し出しという、突き押し一本の取り口
玉鷲とは?41歳・片男波部屋のモンゴル出身力士
玉鷲は、片男波部屋に所属するモンゴル出身の力士で、休まず土俵に上がり続けてギネス世界記録に認定された41歳の関取です。
2004年1月場所に初土俵を踏み、2008年9月場所で新入幕を果たしました。最高位は東関脇です。
日本相撲協会の公式プロフィール(令和八年七月場所時点)に基づく基本情報は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 四股名 | 玉鷲 一朗(たまわし いちろう) |
| 生年月日 | 1984年11月16日(41歳) |
| 出身地 | モンゴル・ウランバートル |
| 体格 | 189.0cm・179.0kg |
| 所属部屋 | 片男波部屋 |
| 初土俵 | 2004年1月場所 |
| 新十両 | 2008年1月場所 |
| 新入幕 | 2008年9月場所 |
| 新三役 | 2015年3月場所(新小結) |
| 最高位 | 東関脇(2017年1月〜7月場所) |
| 得意技 | 突き・押し |
幕内力士の平均的な体格を上回る189cmの長身で、その長い腕から繰り出すのど輪と突っ張りが持ち味です。同じ土俵に上がる現役の顔ぶれは、現役力士一覧【2026年最新】関取70人の四股名・読み方・部屋まとめで確認できます。
Q. 「玉鷲」はなんと読みますか?四股名の由来は?
A. 「たまわし」と読みます。四股名は「玉鷲 一朗(たまわし いちろう)」です。「玉」は横綱・玉の海を輩出した片男波部屋に伝わる字で、「鷲」は出身地モンゴルを象徴する鳥から取られたと伝えられます。
玉鷲の現在の番付と成績|2026年7月場所終了時点で東十両7枚目
玉鷲の現在の番付は、2026年7月場所終了時点で東十両7枚目です。幕内から十両へ落ちて最初の場所でした。
同場所は9勝6敗で勝ち越しました。十両に落ちるのは13年ぶりで、勝ち越しも約1年ぶりでした。
直近10場所の番付と成績は次のとおりです。
| 場所 | 番付 | 成績 |
|---|---|---|
| 2026年7月場所 | 東十両7枚目 | 9勝6敗 |
| 2026年5月場所 | 西前頭13枚目 | 2勝13敗 |
| 2026年3月場所 | 西前頭9枚目 | 5勝10敗 |
| 2026年1月場所 | 東前頭5枚目 | 5勝10敗 |
| 2025年11月場所 | 東前頭4枚目 | 7勝8敗 |
| 2025年9月場所 | 東前頭筆頭 | 6勝9敗 |
| 2025年7月場所 | 西前頭4枚目 | 11勝4敗(殊勲賞) |
| 2025年5月場所 | 東前頭3枚目 | 6勝9敗 |
| 2025年3月場所 | 西前頭7枚目 | 10勝5敗 |
| 2025年1月場所 | 東前頭10枚目 | 9勝6敗 |
通算の記録は下表のとおりです。
| 項目 | 記録 |
|---|---|
| 生涯成績 | 906勝903敗2休(134場所) |
| 幕内成績 | 714勝784敗2休(100場所) |
| 幕内最高優勝 | 2回(2019年1月場所・2022年9月場所、いずれも13勝2敗) |
| 十両優勝 | 1回 |
| 三賞 | 殊勲賞3回・敢闘賞1回・技能賞1回 |
| 金星 | 8個 |
※出典:日本相撲協会公式データ(令和八年七月場所時点)。番付と成績の推移は各場所の番付・取組結果による。
番付の呼び方や十両と幕内の違いが分かりにくいときは、番付とは?相撲の階級・仕組み・見方をあわせてご覧ください。
次の場所(令和八年九月場所)に向けて
九月場所は2026年9月13日が初日で、新しい番付は8月31日に発表されます。
会場は東京・両国国技館、千秋楽は9月27日です。東十両7枚目で9勝6敗ですから、九月場所は十両の上位に置かれることが見込まれます。ただし幕内に戻るには十両筆頭前後まで番付を上げたうえで勝ち越す必要があり、一場所で再入幕という位置ではありません。発表後の顔ぶれは大相撲の番付表・最新版で確認できます。
玉鷲の今日の取組結果と星取を確認する方法
日本相撲協会公式サイトの取組結果と星取表のページで、その日のうちに確認できます。
十両の取組は幕内より前に行われるため、テレビ中継では序盤の時間帯に放送されます。取組がいつ発表されるか、星取表をどう読むかは大相撲の取組予定はいつ発表?明日の割・千秋楽の決まり方と星取表の見方で解説しています。
Q. 玉鷲は現役ですか?引退したのですか?
A. 現役です。2026年7月場所も東十両7枚目として15日間を取り切り、9勝6敗で勝ち越しています。引退の発表はありません。
なぜ「鉄人」と呼ばれるのか|ギネス世界記録「大相撲最多連続出場」1,763回
初土俵から本人の都合で一度も休まず、その連続出場がギネス世界記録に認定されたからです。
ギネスワールドレコーズが認定したのは「大相撲最多連続出場」で、認定された回数は1,763回。認定証は2026年1月26日に贈られました(ギネス世界記録公式発表)。1回は本場所の1番を指します。1場所15番を22年近く積み上げた数字です。
ここで混同しやすいのが、玉鷲の連続出場には別々の2つの記録があるという点です。
▍玉鷲の「連続出場」は2つある
※ギネス世界記録の認定回数は認定時点の数字です。通算連続出場はその後も本場所ごとに増えるため、最新の数字は認定回数とは一致しません。
すごさの中心は優勝回数ではなく、22年近く休まないという一点にあります。ファンの間でも「角界の鉄人」「無休の鉄人」と呼ばれ、記録の大きさよりも、休まないこと自体への驚きとして語られています。
幕内連続出場1,152回が止まった場所
幕内連続出場は、2026年7月場所の十両陥落によって1,152回で止まりました。歴代3位の記録です。
止まったのは幕内の記録だけで、初土俵から数える通算の連続出場は十両でも積み上がり続けます。玉鷲はその7月場所を9勝6敗で勝ち越しており、記録が一つ途切れた場所で白星を戻したことになります。
Q. 「休まない」はずなのに、公式の成績に「2休」があるのはなぜですか?
A. 2022年7月場所の途中、部屋で新型コロナウイルスの感染が確認されたために休場したものです。初土俵以来ただ一度の休場でした。日本相撲協会はこの種の休場を連続出場が途切れたものとして扱わず、記録は継続しています。
玉鷲の得意技|直近6場所の34勝中21勝が押し出し
得意技は突き・押しで、直近6場所の白星34のうち21が押し出しです。押し系だけで7割を超えます。
まわしを取って組み止めるのではなく、立ち合いから当たってのど輪で相手の上体を起こし、そのまま前に出て土俵の外へ運ぶ。189cmの長身と長い腕が、その形をつくる土台です。
日本相撲協会公式が集計した直近の決まり手の内訳は次のとおりです。
※出典:日本相撲協会公式「決まり手の傾向」(直近6場所・白星34番の内訳)
▍玉鷲の勝ちパターン(のど輪から押し出し)
① 頭から当たる
立ち合いで真っ向から当たり、相手を下がらせて主導権を取る
② のど輪で上体を起こす
長い腕で相手の喉元を押し上げ、腰を浮かせてまわしを取らせない
③ 押し出す
両手で押し続け、土俵の外へ運ぶ。相手が倒れれば押し倒しになる
※のど輪は決まり手そのものではなく、押し相撲の途中で使う技です。押し出しと突き出しの違いは、手を離して突き放すか、押し続けるかにあります。
一方で、この取り口は組み止められると分が悪くなります。もろ差しを許して前に出られない形になると、押す距離を作れないまま土俵を割る相撲が増えます。番付が大きく下がった2026年前半は、その形が続いた時期でもありました。
玉鷲の歩み|11年かけた新三役と2度の幕内最高優勝
2004年1月に初土俵を踏み、新三役は11年後の2015年3月場所でした。決して早い出世ではありません。
新十両は2008年1月場所、新入幕は同年9月場所です。そこから小結に上がるまで7年近くを幕内で過ごし、2017年1月場所で最高位の東関脇に就きました。
初の幕内最高優勝は2019年1月場所、34歳のときです。13勝2敗で、殊勲賞と敢闘賞をあわせて受けました。2度目は2022年9月場所で、こちらも13勝2敗。37歳での優勝でした。
三賞は殊勲賞3回・敢闘賞1回・技能賞1回。殊勲賞の3回目は、41歳を目前にした2025年7月場所です。横綱から挙げた金星は8個あります。
Q. 玉鷲の優勝はいつですか?
A. 幕内最高優勝は2回で、2019年1月場所と2022年9月場所です。いずれも13勝2敗でした。初優勝は34歳、2度目は37歳のときで、いずれも遅咲きの優勝として扱われました。
土俵の外の玉鷲|菓子作りと手芸、そして家族
土俵を降りた玉鷲は、クッキーを焼き刺しゅうをする、菓子作りと手芸の人として知られています。
クッキーやケーキを焼き、刺しゅうや小物を作る。ファンの間では「のど輪を出す手と同じ手で細かい手芸をしているのが信じられない」という言い方で語られることが多く、その落差から相撲を見はじめたという声もあります。本人はインタビューで、作ったものを渡して相手がどんな顔をするかが自分へのご褒美だと語っています。
2度目の優勝を決めた場所では、千秋楽の前夜に産気づいた妻に付き添い、そのうえで土俵に上がって優勝を果たしました。この話は、玉鷲を語るときにいまも繰り返し引かれます。
日本国籍は2024年3月19日付の官報で告示され、取得しています。
玉鷲は引退したのか|現役続行の現在地と、親方になるための条件
引退はしていません。2026年7月場所も15日間を取り切り、9勝6敗で勝ち越しています。
41歳で十両に落ちたことから引退を心配する声はありますが、本人の引退表明は確認できていません。報道されている本人の言葉も、腐らずに取ること、関取として戦えることを喜ぶことに向いています。
引退後に親方として日本相撲協会に残るには、日本国籍を持っていることと、年寄名跡を取得することが制度上の条件です。玉鷲は2024年3月に日本国籍を取得しており、国籍の条件は満たしています。名跡をどうするかについては、本人からも協会からも公表を確認できていません。
Q. 玉鷲は幕内に戻れますか?
A. 可能性はありますが、九月場所ひと場所では届きません。東十両7枚目からの9勝6敗で番付は十両上位に上がる見込みで、そこからさらに大きく勝ち越して、十両上位と幕内下位の入れ替えに入る必要があります。
玉鷲に関するよくある質問
Q. 玉鷲の年齢と身長・体重は?
A. 1984年11月16日生まれの41歳です。日本相撲協会の公式プロフィール(令和八年七月場所時点)では189.0cm・179.0kgとされています。
Q. 玉鷲のギネス世界記録は何の記録ですか?
A. 「大相撲最多連続出場」です。初土俵からの連続出場1,763回で認定され、認定証は2026年1月26日に贈られました。この数字は認定時点のもので、その後も本場所ごとに増えています。
Q. 玉鷲はどこの部屋の力士ですか?
A. 片男波部屋です。四股名の「玉」は、横綱・玉の海を輩出したこの部屋に伝わる字とされます。
Q. 玉鷲の最高位はどこですか?
A. 東関脇です。2017年1月場所から7月場所にかけて関脇を務めました。大関には昇進していません。
まとめ|玉鷲が土俵に立ち続ける意味
玉鷲は、初土俵から休まず出続けてギネス世界記録に認定された、片男波部屋の41歳の力士です。この記事の要点を整理します。
- モンゴル・ウランバートル出身、片男波部屋所属。2026年7月場所終了時点の番付は東十両7枚目
- ギネス世界記録「大相撲最多連続出場」に1,763回で認定(2026年1月26日授与)。通算の連続出場はその後も継続中
- 幕内連続出場は1,152回(歴代3位)。2026年7月場所の十両陥落で途切れた
- 得意技は突き・押し。直近6場所の白星34のうち21が押し出し
- 幕内最高優勝2回(2019年1月・2022年9月、いずれも13勝2敗)、最高位は東関脇、金星8個
土俵に上がった回数を積み上げるという記録は、強さそのものを示しません。示すのは、体をその日の土俵に間に合わせ続けてきたという事実だけです。番付が上がった場所も、二桁負けた場所も、十両へ落ちた場所も、玉鷲は同じ支度部屋を通って同じ花道を歩いてきました。九月場所も、その一番が積み上がります。

