力士の四股名が入った浴衣は、店で売るために作られたものではありません。幕内力士が自分の反物を作ってお中元として配り、受け取った人がそれを浴衣に仕立てて着る、贈り物の文化から生まれた装いです。この記事では、反物を贈り合うしきたりと番付による服装の違いを押さえたうえで、ファンが反物や浴衣を手に入れる方法と値段、公式の手ぬぐい・扇子までまとめます。
※本記事には商品リンク(アフィリエイト広告)を含みます。値段は各店・公式通販のページを2026年9月17日に確認した税込表示です。在庫と値段は変わるため、購入前に各ページをご確認ください。
この記事でわかること
- 力士の浴衣と反物のしきたり(お中元・仕着せ・染め抜き)
- 番付で変わる力士の服装(下駄・雪駄・博多帯・紋付)
- 反物の柄の作り方と染め方、製作の時期
- ファンが力士の反物・浴衣を手に入れる方法と値段の目安
- 公式の相撲の手ぬぐい・扇子の値段と買える場所
力士の浴衣とは?四股名入りの反物を贈り合う夏の装い
幕内力士は四股名入りの反物を作ってお中元として配り、受け取った力士や関係者がそれを浴衣に仕立てて着ます。
雑誌MonoMaxの力士の浴衣を紹介した記事(2026年7月28日)によると、相撲界では一般の衣替えより早く、4月に入ると浴衣を着始めます。幕内力士の反物には「粗布(そふ)」という熨斗が付けられ、五月場所や七月場所の支度部屋でお中元として配られると同誌は書いています。配る相手は同じ部屋の仲間や一門の関取、世話になっている親方、同じ学校出身の力士などで、親交のあるファンに贈られることもあります。
自分の反物を作れる番付は、発信元によって書き方が違います。MonoMaxは「幕内力士だけの特権」と紹介し、元幕内・大至の大至伸行さんのnoteも「幕内力士でしか作ることの出来ない」夏のアイテムと書いています。一方で、相撲用の反物を作っている浜松市の浴衣工房のブログは「相撲部屋や関取が後援会の人々に配るもの」と説明しています。四股名入りの反物を作るのは主に幕内力士で、部屋として作る反物もある、と押さえておくと食い違いません。
部屋で作った反物は浴衣に仕立てて部屋の全員に配られ、「仕着せ(しきせ)」と呼ばれるお揃いの衣装になります。MonoMaxは、七月場所の千秋楽パーティーなどで皆で着ると紹介しています。
| 用語 | 意味 | 出典 |
|---|---|---|
| 反物(たんもの) | 浴衣に仕立てる前の布。力士や部屋が柄を作って配る | MonoMax |
| 粗布(そふ) | 幕内力士が配る反物に付ける熨斗の表書き | MonoMax |
| 仕着せ(しきせ) | 部屋の反物で仕立て、部屋の全員に配るお揃いの浴衣 | MonoMax |
| 染め抜き | 幕内力士が場所入りに着る、膝下に四股名の一字などを染め抜いた着物 | 大至伸行さんのnote |
| 泥着(どろぎ) | 稽古の後や巡業先で、廻しの上に羽織る古くなった浴衣 | 日本相撲協会 大相撲クイズ |
番付で違う力士の服装|浴衣・雪駄・博多帯
元幕内・大至さんによると、序ノ口・序二段は下駄、三段目から雪駄と羽織、幕下から博多帯と外套が許されます。
大至さんのnoteは、力士の身なりが番付で細かく分かれていることを、自身の経験から紹介しています。下の表は、そのnoteの記述をまとめたものです。
| 番付 | 許される装い(大至さんのnoteより) |
|---|---|
| 序ノ口・序二段 | 冬場も単(ひとえ)の着物に下駄、帯は染め帯 |
| 三段目 | 雪駄が履ける。羽織も着られる |
| 幕下 | 博多帯が締められ、冬用のコート(外套)も着られる |
| 十両・幕内(関取) | 黒紋付羽織袴が正装。質の良い着物を誂えたり、洒落袴を着たりできる |
| 幕内 | 本場所入りは染め抜きの着物が正装 |
夏場はどの番付も浴衣姿が中心だと、同じnoteは書いています。幕内力士だけが着る染め抜きについて、境川部屋の佐田の海はPOPEYEへの寄稿で、5月・7月・9月場所の場所入りと、8月・10月の巡業での飛行機や新幹線の移動で着ると説明しています。染め抜きは自分で仕立てる場合と、後援会やスポンサーから贈られる場合があるそうです。
観戦する側の服装に決まりがあるかは、相撲観戦の持ち物と服装で説明しています。
反物の柄はどう作る?デザインと染め方
MonoMaxによると、反物の柄は四股名に縁起物や好物、出身地のモチーフを合わせて作り、注染かプリントで染めます。
柄に込める意味
四股名に和柄や縁起物を合わせる柄のほか、好物や出身地、親しい人にちなむマークを入れた柄もあります。
MonoMaxは宇良関の反物を例に挙げています。黒と黄色の2色の柄をデザインしたのは、同じ木瀬部屋にいた元肥後ノ花の橋本さんで、宇良関が体重を増やすときに食べていたチーズハンバーガー、学生時代にアルバイトをしていたボウリング場にちなむピン、趣味のオタマトーンが散りばめられています。
同誌は、栃東(現・玉ノ井親方)が親交のある松任谷由実さんのマークを入れた例や、北勝富士(現・大山親方)が出身地の所沢市にちなんで西武ライオンズのマークを入れた例も紹介しています。
染め方の違い
裏まで色が通る注染(本染め)と、裏が白く残るプリント(捺染)があり、プリントは費用をおさえやすい染め方です。
MonoMaxによると、かつて主に使われていたのは注染で、使う色数を少なくして費用をおさえる力士もいます。浴衣工房のブログは、親方や関取の希望は黒地に白抜きのような濃い色が多いと感じており、そうした柄はプリントの不良が目立ちやすいため、二回の晒し加工や前処理をしてから刷ると書いています。
製作の流れと時期
浴衣工房の案内では製作に約2か月かかり、五月場所に反物を配るなら3月初めに製作を始めます。
同工房の相撲浴衣反物の案内ページは、部屋ごと・力士ごとの注文を受けていると書き、注文のルートはさまざまでも最終的な生産は浜松市で行う場合が大半だと説明しています。この「大半」は同工房の説明で、業界全体を数えた数字ではありません。
| 目的(工房の案内) | 製作開始の目安 |
|---|---|
| 五月場所に浴衣を着たい | 2月はじめ |
| 五月場所に反物を配りたい | 3月はじめ |
| 名古屋場所に浴衣を着たい | 4月はじめ |
| 名古屋場所に反物を配りたい | 5月はじめ |
でき上がった反物は約35cmでたたんで三つ折りにし、名前を入れた熨斗紙を付けて包装してから納めると、同ページは案内しています。
力士の浴衣を見るポイント|名前の力士が着ているとは限らない
相撲界では自分の四股名の浴衣を自分で着るのは粋ではないとされ、贈られた反物を仕立てて着るのが基本です。
MonoMaxは、四股名の入った浴衣を着ている人がその力士本人とは限らないと書いています。同誌によると、近年は自分の四股名の浴衣を着る力士も現れています。また、別の一門の力士の浴衣を着ていれば、その力士同士の仲が良いしるしです。浴衣の柄と着ている力士を見比べると、交友関係が見えてきます。
四股名の入らない浴衣を好む力士もいます。佐田の海はPOPEYEのコラムで、力士の浴衣は部屋や関取の名前が入ったものが定番だとしたうえで、マリメッコの生地で毎年1着ずつ浴衣を仕立て、6着持っていると書いています。
| 見られる場面 | 時期 | 装い | 出典 |
|---|---|---|---|
| 力士の普段の外出 | 4月から | 浴衣 | MonoMax |
| 本場所の場所入り | 5月・7月・9月場所 | 幕内は染め抜き | POPEYE |
| 巡業の移動 | 8月・10月 | 染め抜き | POPEYE |
| 部屋の千秋楽パーティーなど | 七月場所 | 部屋の仕着せ | MonoMax |
国技館で力士の場所入りを見る時間の使い方は、両国国技館の楽しみ方を参考にしてください。
力士の浴衣・反物をファンが手に入れる方法
現役力士の反物は配るために作る品で、ファンに届く道は後援会などを通じた贈り物です。買うなら専門店の在庫か未使用の古物です。
MonoMaxは、部屋の反物が後援会員への特典になっている場合があると書いています。後援会の会費や反物を受け取れる条件は部屋ごとに違うため、入会を考えるなら各部屋の後援会の案内で確かめてください。
| 入手先 | 手に入るもの | 値段の目安 | 条件・注意 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 部屋・力士の後援会 | 部屋の反物など | 会費は部屋ごとに違う | 特典になっている場合がある | MonoMax |
| 浅草 招き屋(台東区雷門) | 力士・部屋の反物、相撲柄の浴衣 | 在庫の反物5,500〜33,000円、相撲柄浴衣6,600円・7,150円 | 豊昇龍・王鵬などの反物は売り切れ | 招き屋 |
| 着物店の未使用の反物(古物) | 引退した力士や部屋の反物 | 4,620〜16,100円 | 出品は時期によって入れ替わる | Yahoo!ショッピング |
| 書籍『相撲浴衣反物見本帖』 | 反物の柄の写真と制作の話 | 2,200円 | 反物そのものではない | おすもうさんオンラインショップ |
| 日本相撲協会の公式 | 過去に歴代横綱反物や浴衣生地のトート・巾着を販売 | ― | 2026年9月17日時点、公式通販SuMALLの商品一覧に反物は見当たらない | 大相撲公式ファンクラブ |
| フリマアプリ(個人間取引) | 出品による | 出品による | 贈答品で、来歴や真贋を確かめにくい | ― |
浅草の招き屋は相撲グッズを扱う店で、2026年9月17日にサイトの店内検索で「反物」を調べると、在庫のある反物は5,500〜33,000円でした。大島部屋8,250円や間垣部屋9,350円のような部屋の反物もあれば、明生23,100円、竜電27,500円、勢33,000円のような力士の反物もあります。Yahoo!ショッピングでは、着物店の平和屋が未使用の反物を出品しており、貴乃花11,500円、千代の富士(薩摩浴衣)16,100円、北天佑4,620円などでした。
反物1反の値段の目安
浴衣工房のブログは2022年12月、相撲用の反物を数千円/反と説明していました。招き屋で買う場合は5,500〜33,000円です。
同工房によると、呉服屋で浴衣の反物を買うと3〜5万円ほどですが、相撲用の反物は数千円/反で、値段は柄と注文する反数で変わるとしています。同じ記事は、燃料費や材料費の値上がりで相撲用の反物も大きく値上がりすると書いていたため、今の製作費は工房への問い合わせで確かめる必要があります。
反物の柄を眺めたいだけなら、令和7年の幕内力士と各部屋の図柄を集めた書籍が手軽です。日刊スポーツの佐々木一郎さんが書いた本で、2026年7月14日に発売されました。
実物の反物を探すなら、着物店が出品している未使用品があります。以下は日本相撲協会の公式品ではなく、古物(未使用品)です。
反物を浴衣や小物に仕立てるときの注意
反物は品によって長さの表記が違うため、買う前に長さと幅を確かめ、仕立て店に浴衣1着分に足りるかを相談します。
招き屋には「一疋分(1.5反)」と書かれた反物もあり、品ごとに長さが違います。浴衣に仕立てるつもりなら、商品ページの長さと幅の表記を控えて、和裁の仕立て店に相談してください。仕立て代は店によって違うので、見積もりを取ってから頼むと安心です。
浴衣にしない使い方もあります。大相撲公式ファンクラブは、2022年のファン感謝祭で力士が書いた文字を四股名になるように並べ、縁起の良い鶏をモチーフにしたオリジナル反物を作り、トートバッグとポーチにして売りました。同じ感謝祭の売店では、歴代横綱の浴衣生地の巾着やトート、歴代横綱反物も扱っていました。手元の反物を小さな布小物にすれば、柄を普段使いで楽しめます。
相撲の手ぬぐいと扇子|公式品の値段と買える場所
公式の手ぬぐいは1,100〜1,870円、扇子はケース付き各1,650円で、親方売店すも~るとSuMALLで買えます。
日本相撲協会の九月場所の国技館の売店案内では、親方売店すも~るで手ぬぐい3柄を各1,870円、満員御礼てぬぐいを1,100円、扇子を各1,650円で売っています。手ぬぐいと扇子は、協会の公式通販SuMALLでも扱っています。
| 品名 | 値段(税込) | サイズ・素材など | 売り場 |
|---|---|---|---|
| 手ぬぐい(満員御礼力士) | 1,870円 | 注染・約37×90cm・綿・日本製 | 親方売店すも~る・SuMALL |
| 手ぬぐい(力士のたしなみ) | 1,870円 | 注染・約37×90cm・綿・日本製 | 親方売店すも~る・SuMALL |
| 手ぬぐい(土俵入り) | 1,870円 | 注染・約37×90cm・綿・日本製 | 親方売店すも~る・SuMALL |
| 満員御礼てぬぐい | 1,100円 | 約34×90cm | 親方売店すも~る・SuMALL |
| 扇子「決まり手」「四股名」・力士柄扇子 | 各1,650円 | ケース付き・竹とポリエステル | 親方売店すも~る(扇子各1,650円と表記)・SuMALL |
| 扇子「相撲モチーフ」 | 1,650円 | ケース付き | SuMALLは2026年9月17日時点で在庫なし |
扇子「四股名」は、横綱・大関をはじめ23人の力士のしこ名を散らした柄です。手ぬぐい3柄は、表と裏から染める注染で染めたとSuMALLの商品説明にあります。
先に紹介した『相撲浴衣反物見本帖』を出版社の通販で買う場合、おすもうさんオンラインショップでは、ほかの品と合わせて3,000円以上の購入で、非売品の注染のオリジナル手拭いを先着でもらえます(数量限定)。
会場や公式通販のほかに、市販の相撲柄の手ぬぐい・扇子もあります。下の表は2026年9月17日にYahoo!ショッピングで確認した値段で、いずれも日本相撲協会の公式品ではありません。
| 品名 | 値段(税込) | 店 |
|---|---|---|
| 注染手拭い「横綱相撲」(36×90cm) | 1,650円 | e雑貨yume |
| 手ぬぐい 大相撲 JAPAN(黒) | 1,991円 | のぼりストア |
| 相撲紙せんす 極(紙製) | 550円 | TOKYO MIYAKO |
| 浮世絵扇子「相撲取組」(22.5cm) | 1,980円 | 京秀屋 |
タオルやTシャツ、ガチャなど相撲グッズ全体の売り場と値段は、相撲グッズはどこで買える?国技館の売店・公式通販と人気グッズの値段一覧にまとめています。
よくある質問
Q. 力士の浴衣は買えますか?
A. 現役力士が配る反物は売るための品ではなく、日本相撲協会の公式通販SuMALLの商品一覧にも2026年9月17日時点で反物はありません。買う道は、浅草の招き屋のような相撲グッズ店の在庫(反物5,500〜33,000円)か、着物店が出す未使用の古物(4,620〜16,100円)です。2026年9月17日に招き屋と平和屋で確認できた力士の品は、仕立てる前の反物でした。
Q. 力士が自分の四股名の浴衣を着ないのはなぜですか?
A. MonoMaxによると、自分の四股名が入った浴衣を自分で着るのは「粋じゃない」とされているためです。反物はお中元として人に贈る品なので、自分は人から贈られた反物で浴衣を仕立てて着ます。ただし同誌は、近年は自分の四股名の浴衣を着る力士も現れていると書いています。
Q. 力士はいつから浴衣を着ますか?
A. MonoMaxによると、一般の衣替えより早い4月に入ると浴衣を着始めます。同誌は、浴衣姿は夏巡業や九月場所まで見られると書いています。冬場の服装は番付で決まりがあり、元幕内・大至さんのnoteでは、序ノ口・序二段は冬場も単の着物に下駄です。
Q. 力士の反物1反の値段はいくらですか?
A. 作る側の値段と買う側の値段で違います。浅草の招き屋では在庫の反物が5,500〜33,000円(2026年9月17日確認)で、Yahoo!ショッピングの未使用品は4,620円からありました。作る側は、浴衣工房のブログが2022年12月に「数千円/反」と説明していましたが、柄と反数で変わり、値上がりも見込まれていました。
Q. 染め抜きと浴衣はどう違いますか?
A. 染め抜きは、膝下などに四股名の一字を染め抜いた着物で、幕内力士の場所入りの正装です。佐田の海のPOPEYEへの寄稿では、5月・7月・9月場所の場所入りと8月・10月の巡業の移動で着ます。浴衣は番付に関係なく夏の普段着で、四股名入りの反物から仕立てたものが定番です。
Q. 相撲の手ぬぐいや扇子はどこで買えますか?
A. 公式品は、本場所中の国技館の親方売店すも~ると公式通販SuMALLで買えます。手ぬぐいは注染の柄もの各1,870円と満員御礼てぬぐい1,100円、扇子はケース付きで各1,650円です(令和8年九月場所の案内)。相撲柄の市販品は、紙扇子550円や注染手拭い1,650円などが通販にあります。
まとめ
力士の浴衣は四股名入りの反物を贈り合う文化から生まれ、ファンは専門店や古物、書籍で楽しめます。
- 幕内力士は「粗布」の熨斗を付けた反物をお中元として配り、受け取った人が浴衣に仕立てる
- 番付で装いが変わり、雪駄は三段目、博多帯は幕下、紋付は関取、染め抜きは幕内から(大至さんのnote)
- 自分の四股名の浴衣は自分で着ないのが基本。別の一門の浴衣は仲の良さのしるし
- 反物を買うなら招き屋の在庫(5,500〜33,000円)か未使用の古物。公式の手ぬぐいは1,100〜1,870円、扇子は1,650円
力士の浴衣に興味がわいたら、次は国技館で場所入りの装いを見てみてください。売店で買える品は相撲グッズの売り場と値段一覧、持ち帰りやすい品は相撲のお土産セットの中身と値段で確かめられます。


