本場所(ほんばしょ)とは、日本相撲協会が年6回開催する大相撲の公式戦のことです。1場所は15日間。この15日間で挙げた星だけが番付の昇降と力士褒賞金に反映されるため、力士にとっては一年の生活と地位が決まる真剣勝負の場となります。この記事では、6つの場所の名前と開催月・会場、15日間の進み方、そして巡業との違いまでを、初めての方にもわかる形で整理します。
📖 この記事でわかること
- 本場所とはどんな興行か、巡業・花相撲と何が違うのか
- 年6場所の呼び方・開催月・都市・会場の早見表
- 「7月なのに名古屋場所」など、正式名称と通称の使い分け
- 番付発表から初日・中日・千秋楽までの15日間の流れ
- 勝ち越し・負け越しが番付をどう動かすのか
本場所とは?番付が動く唯一の公式戦
本場所とは、日本相撲協会が主催する大相撲の公式興行で、現在は1月・3月・5月・7月・9月・11月の年6回、それぞれ15日間にわたって行われます。ここで記録された勝敗だけが番付の昇降や力士褒賞金の加算に反映されるため、力士の地位を決める唯一の公式戦と位置づけられています。
同じ「大相撲」と名の付く催しでも、地方をまわる巡業や、引退相撲などで行われる花相撲は公式戦ではありません。取組の勝ち負けが番付に響かないぶん、巡業では観客との距離が近く、和やかな空気で進むのが通例です。両者は目的そのものが違うと考えるとわかりやすいでしょう。
本場所・巡業・花相撲はどう違う
| 項目 | 本場所 | 巡業 | 花相撲 |
|---|---|---|---|
| 位置づけ | 公式戦 | 地方公演 | 催事・イベント |
| 番付への反映 | あり(昇降が決まる) | なし | なし |
| 開催回数 | 年6回・各15日間 | 本場所の合間(春夏秋冬) | 引退相撲・福祉大相撲など随時 |
| 主な目的 | 力士の技量審査 | 普及・ファンサービス | 記念・慈善 |
| 雰囲気 | 張り詰めた真剣勝負 | 和やか・距離が近い | 祝いの色が濃い |
巡業の中身については「大相撲の巡業とは?本場所との違い・一日の流れ・楽しみ方を完全ガイド」で詳しく取り上げています。
Q. 本場所と巡業・花相撲のいちばんの違いは何ですか?
A. 勝敗が番付と力士褒賞金に反映されるかどうかです。公式戦である本場所だけが力士の地位を動かし、巡業や花相撲は普及・記念を目的とした催しとして行われます。
年6場所の呼び方・開催月・会場一覧
本場所には「七月場所」のように開催月で呼ぶ正式名称と、「名古屋場所」のように開催地や季節で呼ぶ通称があります。ニュースでも両方が使われるため、まずは対応関係を一覧で押さえておくと迷いません。
| 正式名称 | 通称 | 開催月 | 都市 | 会場 |
|---|---|---|---|---|
| 一月場所 | 初場所 | 1月 | 東京 | 両国国技館 |
| 三月場所 | 春場所(大阪場所) | 3月 | 大阪 | エディオンアリーナ大阪 |
| 五月場所 | 夏場所 | 5月 | 東京 | 両国国技館 |
| 七月場所 | 名古屋場所 | 7月 | 名古屋 | IGアリーナ(愛知県新体育館) |
| 九月場所 | 秋場所 | 9月 | 東京 | 両国国技館 |
| 十一月場所 | 九州場所 | 11月 | 福岡 | 福岡国際センター |
東京での開催が年3回(1月・5月・9月)、大阪・名古屋・福岡が各1回。この「東京3・地方3」のリズムが、1958年以降の大相撲の一年の骨格になっています。
なぜ「7月なのに名古屋場所」なのか
正式名称は開催月にもとづく「七月場所」で、通称は開催地にちなむ「名古屋場所」。どちらも誤りではなく、場面によって使い分けられているだけです。同じように三月場所は「春場所」または「大阪場所」、十一月場所は「九州場所」と呼ばれます。
混乱しやすいのは、通称に季節の言葉と地名が混ざっている点でしょう。初場所・春場所・夏場所・秋場所は季節、名古屋場所・九州場所は地名から来ています。「1月=初、3月=春、5月=夏、7月=名古屋、9月=秋、11月=九州」と並べて覚えてしまうのが早道です。
Q. なぜ七月場所を「名古屋場所」と呼ぶのですか。正式名称はどちらですか?
A. 開催月による「七月場所」が正式名称で、開催地にちなむ「名古屋場所」は通称です。三月場所の「春場所(大阪場所)」、十一月場所の「九州場所」も同じ関係で、どちらを使っても間違いではありません。
2026年(令和8年)の本場所日程
| 場所 | 初日〜千秋楽 | 会場 |
|---|---|---|
| 一月場所(初場所) | 1月11日〜1月25日 | 両国国技館 |
| 三月場所(春場所) | 3月8日〜3月22日 | エディオンアリーナ大阪 |
| 五月場所(夏場所) | 5月10日〜5月24日 | 両国国技館 |
| 七月場所(名古屋場所) | 7月12日〜7月26日 | IGアリーナ(名古屋) |
| 九月場所(秋場所) | 9月13日〜9月27日 | 両国国技館 |
| 十一月場所(九州場所) | 11月8日〜11月22日 | 福岡国際センター |
初日は日曜日、千秋楽も日曜日というのが現在の通例です。チケットの発売日や買い方、席種ごとの値段は「大相撲の場所とチケット完全ガイド」にまとめてありますので、観戦を具体的に考えている方はそちらをご覧ください。
本場所の15日間はどう進むのか
本場所は、場所が始まる前の番付発表から動き出します。番付は1970年ごろから、一月場所を除いて初日の13日前の月曜日に発表されるのが通例とされ、この日に力士の新しい地位が公になります。そして初日から千秋楽まで15日間、休みなく取組が続きます。
初日・中日(なかび/8日目)・千秋楽は、いずれも節目として特別に扱われます。初日は張り詰めた空気、中日は折り返しの盛り上がり、千秋楽は優勝が決まり表彰式が行われる日。観戦の日を選ぶときは、この3日を軸に考えると雰囲気の違いを楽しめます。
Q. 初めて本場所を観るなら、初日・中日・千秋楽のどれがおすすめですか?
A. 開幕の緊張感を味わうなら初日、折り返しのにぎわいなら中日、優勝の瞬間と表彰式まで見届けたいなら千秋楽が向いています。いずれも人気が高い日にあたるため、チケットは早めの確認をおすすめします。
一日の流れ(序ノ口から結びの一番まで)
本場所の一日は、番付の下の力士から順に取組が進み、最後に横綱・大関が登場する構成になっています。朝は静かな館内が、夕方に向かって少しずつ熱を帯びていく流れです。
時刻はあくまで目安で、その日の取組数や進行によって前後します。観戦の楽しみ方は「大相撲観戦の楽しみ方」でも紹介しています。
十両以上は15番、幕下以下は原則7番
同じ15日間でも、番付によって取る相撲の数は違います。十両以上の関取は15日間毎日土俵に上がり15番、幕下以下は15日間で原則7番です。幕下以下が2日に1度の登場になるのは、力士の数が多く、取組を組む都合があるためとされています。
なお、負けが込んだ力士などに例外的に8番目の相撲(八番相撲)が組まれることもありますが、基本は「関取は15番、幕下以下は7番」と覚えておけば十分です。番付の階級そのものについては「番付とは?相撲の階級・仕組み・見方」で詳しく解説しています。
本場所の成績が番付を動かす仕組み
本場所が「唯一の公式戦」と呼ばれるのは、その成績が次の番付を決めるからです。関取は15番のうち8勝以上で勝ち越し、7勝以下なら負け越し。幕下以下は7番のうち4勝以上が勝ち越しとなります。勝ち越せば番付は上がり、負け越せば下がる——この単純な原則が、年6回のリズムで繰り返されます。
千秋楽が終わると、日本相撲協会は番付編成会議を開き、全力士の成績をもとに次の場所の番付を組み上げます。勝ち星の数だけでなく、どの地位でどれだけ勝ったかも考慮されるため、同じ勝ち越しでも上がり幅は一律ではありません。番付が読み解けるようになると、場所後の楽しみが一段と増えます。詳しくは「大相撲の番付予想のやり方」をご覧ください。
また、本場所の成績は力士褒賞金(給金)の加算にも反映されます。勝ち越した分が積み上がり、関取になると取組ごとの支給につながる仕組みです。土俵の一番一番が、地位と収入の両方に直結していることになります。
Q. 負け越しが続くとどうなりますか?
A. 番付が下がっていきますが、成績不振だけで契約が切れるような制度はありません。幕内から十両、幕下へと下がりながら現役を続ける力士もおり、そこから再び番付を駆け上がる例も見られます。
本場所を観に行くときに知っておきたいこと
本場所は同じ15日間でも、日によって表情が変わります。前半は上位と平幕の力の差が出やすく、終盤に近づくほど優勝争いと勝ち越し・負け越しがかかった一番が増えていきます。「どの日を選ぶか」で見えるものが変わるのが、本場所観戦の面白さです。
会場ごとの個性も本場所ならでは。東京の両国国技館は相撲の本拠地らしい重厚さがあり、2025年から名古屋場所の舞台となったIGアリーナ(愛知県新体育館)は新しい施設だけあって館内が快適だという声が多く聞かれます。大阪・福岡もそれぞれ独自の熱気があり、同じ大相撲でも空気が違います。
席の種類や見え方、値段の目安は「相撲の座席とは?種類・値段・見え方」と「国技館の座席表」に整理しています。チケットの発売時期や購入方法は「大相撲の場所とチケット完全ガイド」をご確認ください。
Q. 本場所のチケットはいつごろから買えますか?
A. 各場所のおおむね1か月ほど前から順次発売されるのが通例で、先行販売が設けられることもあります。人気の日程・席種は早い段階で売り切れるため、日程が発表されたら発売日を確認しておくと安心です。
年6場所制・15日制はいつから始まったのか
現在の姿になるまでには、長い変遷がありました。かつては晴天の日だけ興行を行う「晴天十日間」の時代が続き、1909年(明治42年)からは天候にかかわらず10日間興行となります。その後11日制・13日制を経て、15日制が初めて導入されたのは1939年(昭和14年)5月場所とされます。
ただし戦中戦後の混乱で日数は再び揺れ、10日制や13日制に戻る時期がありました。15日間で固定されて現在まで続くのは1949年(昭和24年)5月場所からとされています。初日・中日・千秋楽を日曜に置けることも、15日制が定着した理由のひとつと言われます。
そして年6場所制になったのは1958年(昭和33年)から。それ以前は東京中心の年2場所・年4場所といった時代が長く、大阪・名古屋・福岡での本場所が定着したことで、いまの「東京3・地方3」の一年が形づくられました。相撲の歴史そのものについては「相撲とは?ルール・歴史・魅力」もあわせてどうぞ。
Q. 本場所は昔から年6回だったのですか?
A. いいえ。年2場所・年4場所といった時代を経て、年6場所制になったのは1958年(昭和33年)からです。1場所15日間で固定されたのも1949年(昭和24年)5月場所からとされ、現在の形は比較的新しいものです。
まとめ|本場所は力士の一年をかたちづくる15日間
本場所は、年6回・各15日間にわたって行われる大相撲の公式戦です。ここで挙げた星だけが番付と力士褒賞金に反映され、次の場所の地位が決まります。正式名称は開催月、通称は開催地や季節——この対応さえ押さえておけば、ニュースで「名古屋場所」「秋場所」と聞いても迷うことはありません。
- 場所の日程・チケット:大相撲の場所とチケット完全ガイド
- 巡業との違いをもっと詳しく:大相撲の巡業とは?
- 番付の階級と見方:番付とは?相撲の階級・仕組み・見方
- 取組・ルールの全体像:大相撲の仕組みを徹底解説
- 観戦の楽しみ方:大相撲観戦の楽しみ方
年に6度、力士たちは同じ15日間を戦い、その積み重ねで番付という一枚の紙の上に自らの位置を刻んでいきます。勝ち越しも負け越しも次の場所へ持ち越され、また新しい15日間が始まる。長く受け継がれてきたこのリズムを知ってから土俵を見ると、一番一番の重みが少し違って感じられるはずです。

