大相撲の解説者は、NHKと専属契約を結ぶ元力士2人と、日本相撲協会の年寄(親方)が日替わりで務める枠の二本立てで成り立っています。テレビの幕内中継では正面と向正面に1人ずつ座り、日によって顔ぶれが入れ替わります。この記事では、現在の解説者の一覧と放送席の仕組み、そして「今日の解説は誰か」を放送前に確かめる方法までをまとめます。
📖 この記事でわかること
- 大相撲の解説者は「NHK専属2人」と「協会の年寄(親方)約40人」の二本立てであること
- 正面解説と向正面解説の違い、放送席がどこに設けられているか
- 今日の解説者が誰かを、放送前に自分で確かめる4つの方法
- 歴代のNHK専属解説者と、ラジオ・英語放送・ABEMAの解説体制の違い
大相撲の解説者とは?NHK専属2人と日替わりの親方で構成される
大相撲の解説者とは、中継で取組の技術や背景を語る担当者で、NHK専属の元力士と協会の親方が務めます。
もう少し詳しく書くと、NHK大相撲中継の解説は、NHKと専属契約を結んだ元力士(2026年時点で舞の海秀平さんと琴風浩一さんの2人)と、日本相撲協会の年寄=親方が日替わりで担当する枠の、大きく二本立てで構成されています。これに加えて、中日(8日目)や祝日には好角家の著名人がゲストとして招かれることもあります。
つまり、毎日同じ人が話しているわけではありません。テレビの中継は幕下以下・十両・幕内の3部構成で、実況と解説は原則としてその都度入れ替わります。同じ日の放送でも、幕下の時間帯と幕内の時間帯では話している人が違う、という仕組みです。
なお、解説を務める親方は「○○親方」と年寄名で紹介されます。現役時代の四股名とは別の名前になるため、「聞いたことがない名前だ」と感じる方も多いはずです。年寄名跡(としよりみょうせき)と番付の関係は、番付とは?相撲の階級・仕組み・見方でも触れています。
正面解説と向正面解説の違い|放送席の配置と人選の傾向
正面は実況アナウンサーと並ぶ主たる解説席、向正面は反対側から別の視点を添える解説席です。
会場では、正面側に放送ブースが設けられ、向正面の升席に放送セットが組まれます。幕内の中継では、正面に実況と解説が入り、向正面にも解説者が座ります。加えて花道リポーターのアナウンサーが東西に配置され、支度部屋の様子や力士の状態を伝えます。
人選には傾向があります。正面解説に入る年寄は、現役時代に横綱・大関などの看板力士だった年寄が選ばれる傾向が強いとされます。一方、幕下以下の時間帯の解説は、概ね若手や中堅の年寄が担当します。向正面には若者頭が座ることもあります。
停年(定年)を迎える年寄は、直前の場所中に幕内の解説に出演することが多く、その際は同じ部屋の弟弟子にあたる年寄がともに出演する例も見られます。土俵を去る人を静かに送り出す放送席の慣例といえます。
Q. 解説に出ない親方がいるのはなぜですか?
A. 審判部に所属する年寄と、停年退職後に参与として再雇用された年寄は、原則として解説を担当しないためです。審判は取組の勝敗を裁く立場にあり、公正さの観点から解説席には座らないと考えられます。
今日の大相撲の解説者は誰?放送前に調べる4つの方法
当日の解説者は、NHKの番組表・NHK公式の大相撲サイト・協会やNHKの公式X・大相撲アプリの4つで確認できます。
解説者の顔ぶれは本場所の15日間、日替わりで変わります。放送が始まってから「今日は誰だろう」と待つのではなく、次の順で確かめると確実です。
- NHKの番組表(EPG)を見る … テレビのリモコンで番組表を開き、「大相撲◯◯場所」の番組欄を表示します。出演者として実況アナウンサーと解説者が記載されます。パソコンやスマートフォンからはNHKの番組表ページでも同じ情報を確認できます。
- NHKの大相撲公式サイト・配信サービスを見る … NHKの大相撲中継の番組ページには、その日の放送内容が掲載されます。ラジオはらじる★らじるでも番組情報を確認できます。
- 公式X(旧Twitter)をフォローしておく … NHKの大相撲中継の公式アカウントや日本相撲協会の公式アカウントは、場所中に放送や取組の情報を発信しています。詳しくは大相撲のTwitter(X)完全ガイドにまとめています。
- 大相撲アプリで取組情報とあわせて確認する … 公式アプリでは取組や結果を追えます。使い方は大相撲アプリとは?無料でできることをご覧ください。
なお、この記事では当日の解説者名は掲載していません。15日間の毎日、しかもテレビ・ラジオそれぞれの担当が入れ替わるため、記事側で追いかけるより、上の4つで自分で確かめるほうが確実で早いからです。
Q. テレビとラジオで解説者は同じ人ですか?
A. 別々です。同じ日でもテレビとラジオでは担当が異なり、ラジオは幕内のみの中継のため、解説者は原則として2時間通しで1人だけが務めます。テレビは幕下以下・十両・幕内で交代します。
NHK専属解説者は誰?舞の海秀平さんと琴風浩一さんの2人
2026年時点のNHK専属解説者は、元小結の舞の海秀平さんと、元大関の琴風浩一さんの2人です。
舞の海秀平さんは1968年2月17日生まれ、青森県西津軽郡鰺ヶ沢町の出身で、出羽海部屋に所属しました。最高位は東小結。角界最小級の体で「猫だまし」「八艘飛び」などの技を繰り出し、技能賞を5回受賞しています。1999年11月の引退後、2000年からNHK専属解説者を務めています。
琴風浩一さんは元大関で、現役時代の四股名は琴風豪規でした。2024年11月の九州場所からNHK専属解説者に加わり、就任時には「プロ目線にならず分かりやすい解説を心掛けたい」と語ったと報じられています。
| 氏名 | 現役時代の最高位 | 在任期間 |
|---|---|---|
| 神風正一 | 元関脇 | 1953年〜1986年 |
| 玉の海梅吉 | 元関脇 | 1957年〜1982年 |
| 若瀬川忠男 | 元小結 | 1985年〜1991年 |
| 緒方昇(元北の洋) | 元関脇 | 1988年〜2000年 |
| 出羽錦忠雄 | 元関脇 | 1990年〜1999年 |
| 北の富士勝昭 | 第52代横綱 | 1998年〜2024年 |
| 舞の海秀平 | 元小結 | 2000年〜(現在) |
| 琴風浩一 | 元大関 | 2024年〜(現在) |
歴代の専属解説者をたどると、放送席の系譜が見えてきます。テレビ中継の初期を支えた神風正一さん、玉の海梅吉さんに始まり、長く親しまれたのが第52代横綱の北の富士勝昭さんでした。1942年3月28日に北海道旭川市で生まれ、九重部屋で幕内優勝10回。1998年に日本相撲協会を退職してNHK専属となり、大関以上の経験者が専属解説者に就いたのはテレビ放送開始以来初のことでした。2023年春場所以降は体調などにより出演を見合わせる場所が続き、2024年11月12日に82歳で亡くなっています。放送席から土俵を見つめ続けた四半世紀は、大相撲中継そのものの一部でした。
解説を担当する親方(年寄)一覧|2026年は約40人が交代で登場
日本相撲協会の年寄が日替わりで解説を務め、2026年の初場所・春場所では約40人が担当しました。
NHKの過去番組表(NHKクロニクル)で確認できる範囲では、2026年初場所・春場所で解説を担当した年寄は次のとおりです(五十音順)。年寄名の下に、現役時代の四股名を添えました。
| 親方(年寄名) | 現役時代の四股名 | 親方(年寄名) | 現役時代の四股名 |
|---|---|---|---|
| 浅香山 | 魁皇 | 朝日山 | 琴錦 |
| 荒磯 | 琴勇輝 | 荒汐 | 蒼国来 |
| 伊勢ヶ濱 | 照ノ富士 | 井筒 | 明瀬山 |
| 稲川 | 普天王 | 岩友 | 碧山 |
| 枝川 | 蒼樹山 | 大嶽 | 玉飛鳥 |
| 尾車 | 琴恵光 | 押尾川 | 豪風 |
| 小野川 | 北太樹 | 春日野 | 栃乃和歌 |
| 春日山 | 勢 | 甲山 | 大碇 |
| 北陣 | 遠藤 | 君ヶ濱 | 隠岐の海 |
| 境川 | 両国 | 佐ノ山 | 千代の国 |
| 錣山 | 豊真将 | 芝田山 | 大乃国 |
| 不知火 | 若荒雄 | 千田川 | 德勝龍 |
| 立浪 | 旭豊 | 玉ノ井 | 栃東 |
| 千賀ノ浦 | 里山 | 出来山 | 翔天狼 |
| 常盤山 | 隆三杉 | 友綱 | 魁聖 |
| 中村 | 嘉風 | 西岩 | 若の里 |
| 錦島 | 千代鳳 | 藤島 | 武双山 |
| 振分 | 妙義龍 | 間垣 | 石浦 |
| 松ヶ根 | 玉力道 | 湊 | 湊富士 |
| 湊川 | 貴景勝 | 三保ヶ関 | 栃栄 |
| 山科 | 豊響 | 若藤 | 皇司 |
| 若松 | 朝乃若 | ― | ― |
実際にどう組まれるかは、場所ごとの実例を見ると掴めます。2026年三月場所(春場所)の初日から五日目、テレビ幕内の担当は次のように推移しました。
| 日程 | 正面解説 | 向正面解説 | ラジオ解説 |
|---|---|---|---|
| 初日 | 琴風浩一さん | 舞の海秀平さん | 朝日山親方 |
| 二日目 | 玉ノ井親方 | 君ヶ濱親方 | 稲川親方 |
| 三日目 | 浅香山親方 | 押尾川親方 | 立浪親方 |
| 四日目 | 舞の海秀平さん | 中村親方 | 錣山親方 |
| 五日目 | 湊川親方 | 岩友親方 | 舞の海秀平さん |
顔ぶれが日ごとに変わることで、語られる中身も変わります。押し相撲で番付を上げた親方、四つに組んで勝負した親方、小柄な体で技を磨いた親方——現役時代に歩んだ相撲が、そのまま取組の見方に表れることが少なくありません。同じ一番でも、誰が話すかで見どころの置きどころが変わる。そこが日替わり解説の面白さです。
ラジオ・英語放送・ABEMAの解説者はどう違う?
ラジオは1人が2時間通しで担当し、英語副音声は英語キャスター、ABEMAは元力士が解説を務めます。
同じ取組でも、媒体が変われば解説の体制も変わります。テレビの音声を消してラジオを聴く、という楽しみ方があるのは、両者の顔ぶれと語り口が違うからです。
| 項目 | NHK総合テレビ | NHKラジオ第1 | 英語副音声 | ABEMA |
|---|---|---|---|---|
| 中継範囲 | 幕下以下・十両・幕内の3部構成 | 幕内のみ | 16時から二ヶ国語放送 | 幕下から幕内まで |
| 解説者 | 正面・向正面に1人ずつ | 原則1人(2時間通し) | 英語キャスター+ゲスト | 花田虎上さんほか元力士 |
| 交代 | 幕下以下・十両・幕内で交代 | 交代しない | ― | ― |
| 放送席 | 正面の放送ブースと向正面の升席 | 1階西方通路上の桟敷席最前部に仮設 | 東京のスタジオ | 地方場所は東京のスタジオ |
ラジオの放送席は、1階西方通路上の桟敷席の最前部に仮設され、実況アナウンサーと解説者は胡坐をかいて座って放送します。テレビのブースとはまるで違う、土俵と地続きの席です。解説者は原則として2時間通しで1人だけ(千秋楽は3時間)。実況アナウンサーが前半と後半で交代する日はありますが、解説の声は最後まで変わりません。なお2025年11月場所からは、らじる★らじるの聴き逃し配信で放送から約1週間聴けるようになりました。
英語の副音声では、ロス・ミハラさん、ヒロ・モリタさん、マレー・ジョンソンさん、ラジャ・プラタンさんらが実況・解説を担当します。ゲストとして元東関親方(元関脇高見山)や元武蔵川親方(元横綱武蔵丸)、好角家のデーモン閣下などが招かれることがあります。英語放送は毎場所東京のスタジオから行われるため、地方場所では親方がゲストに入ることはありません。
ABEMAの中継では、第66代横綱・三代目若乃花の花田虎上さんが土日を中心に解説を務めるほか、旭道山和泰さん、若ノ城宗彦さん、大岩戸義之さん、臥牙丸勝さん、松鳳山裕也さんらが登場します。地方場所は東京のスタジオから映像を見ながら解説するため、協会を退職してタレントや評論家として活動する元力士が担当する形になっています。
実況アナウンサーの顔ぶれ|解説者との掛け合いが中継をつくる
実況は2025年名古屋場所以降、17人前後のアナウンサーが幕下・十両・幕内で分担しています。
大相撲中継は、解説者ひとりでは成り立ちません。取組の間合いを読み、解説者に問いを投げ、記録や番付の文脈を差し込むのが実況アナウンサーの役目です。担当は放送日ごとに幕下・十両・幕内で分けられ、幕下だけを担当するアナウンサーや、幕内はリポートのみを担当するアナウンサーもいます。
2025年名古屋場所以降に実況・リポートを担当しているのは、大坂敏久さん、太田雅英さん、片平和宏さん、小林陽広さん、厚井大樹さん、齋藤舜介さん、酒井良彦さん、佐藤洋之さん、三瓶宏志さん、園田遼斗さん、髙木優吾さん、高山大吾さん、戸部眞輔さん、中村慎吾さん、松井大さん、三輪洋雄さん、森下桂人さんです。東京のアナウンス室だけでなく、大阪・名古屋・福岡・仙台・広島・松江など各地の放送局から集まっています。
なお、大相撲中継で女性アナウンサーが実況やリポートを担当した事例は、これまでに一度もありません。
よくある質問(大相撲の解説者Q&A)
Q. 北の富士さんの後任は誰になりましたか?
A. 2024年11月の九州場所から、元大関の琴風浩一さんがNHK専属解説者に加わりました。北の富士勝昭さんは同年11月12日に82歳で亡くなり、現在の専属解説者は舞の海秀平さんと琴風浩一さんの2人です。
Q. 解説の親方が現役時代の四股名で呼ばれないのはなぜですか?
A. 引退後は年寄名跡を継ぎ、その名前で協会の仕事に就くためです。テロップや紹介も「玉ノ井親方(元大関栃東)」のように年寄名が先に来ます。四股名と年寄名は別物と考えると混乱しません。
Q. 解説者は毎日2人出るのですか?
A. 幕内の中継では正面と向正面に1人ずつ入るのが基本です。ただし中日や祝日に好角家のゲストが招かれた日は、向正面に解説者が入らずアナウンサーが座ることもあります。
Q. ゲスト解説にはどんな人が呼ばれますか?
A. 中日(8日目)や国民の祝日に、好角家として知られる著名人が招かれることが多いとされます。英語の副音声では、デーモン閣下や外国人の好角家がゲストとして加わることもあります。
Q. 幕下の時間帯の解説は誰が担当しますか?
A. 概ね若手や中堅の年寄が担当します。向正面には、力士の世話や進行にあたる若者頭が解説として座ることもあり、番組表にも出演者として掲載されます。
Q. 過去の解説者や取組の記録を調べる方法はありますか?
A. NHKの過去番組表「NHKクロニクル」で放送日ごとの出演者を検索できます。力士の成績や対戦記録は、相撲データベースを使うと早く調べられます。
まとめ|解説者を知ると、大相撲はもっと面白くなる
大相撲の解説者はNHK専属2人と協会の親方約40人で構成され、日替わりで正面・向正面に座ります。
この記事の要点を整理します。
- NHK専属解説者は舞の海秀平さんと琴風浩一さんの2人(2026年時点)
- 協会の年寄が日替わりで解説を担当し、2026年の初場所・春場所では約40人が登場
- 審判部所属の年寄と、停年退職後に参与として再雇用された年寄は原則として解説を担当しない
- 幕内は正面に実況+解説、向正面にも解説者。花道リポーターが東西に配置される
- ラジオは幕内のみで解説者は原則1人。英語副音声とABEMAはまた別の顔ぶれ
- 今日の解説者は、NHKの番組表・公式サイト・公式X・大相撲アプリで確認できる
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解説席に座る人は、かつて同じ土俵に上がっていた人たちです。だからこそ、勝った側の技を褒めるだけでなく、敗れた力士が土俵際でどこに力を残していたかまで言葉にできます。今日の解説は誰か——それを知って中継を点けると、画面の向こうの一番が、少しだけ深いところまで見えてくるはずです。

